【Top10】オラクルが次に買収するのはコンサル系?先週のニュース記事アクセスランキング

» 2009年04月28日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位はIT業界中が驚いた「オラクルが74億ドルでサンを買収」だった。どのような形で統合されるのかなどまだ不明な点は多いが、ソフトウェアの雄であるオラクルがハードウェアに進出するきっかけになりそうだ。

NewsInsight Weekly Top 10
(2009年4月19日〜4月25日)
1位 オラクルが74億ドルでサンを買収
2位 転職で有利な職種 1位はネットワークエンジニア
3位 「すべてを行う」、オラクルが明かすオープンソース戦略
4位 仮想化ソフトの新バージョン、vSphere 4の機能とは
5位 グーグルクラウドのJava対応が意味する2つのこと
6位 クラウド導入で公務員の怠慢な作業が迅速に?
7位 Twitterの「ReTweet」が面白い
8位 OAuthに脆弱性、TwitterやYahoo!がAPIを停止
9位 富士通、「端末種別超えた」リモートアクセスサービス
10位 NEC、インテル新CPU搭載の新サーバ、最大66%の値下げも

 オラクルはこの5年間で50社以上を買収してきた。先週行われた日本オラクルのイベント「Oracle OpenWorld Tokyo」でもオラクル社長のチャールズ・フィリップス氏は「買収は今後も継続する。それによって完全なるソリューションを提供できるようになる」と語り、今後も買収を続けることを強調した(参考記事)。オラクルにとっては自社開発のイノベーションと、買収による技術の取り込みは同列なのだ。

 オラクルの買収戦略が鮮明になったのは2004年からだ。PeopleSoft、Siebelなど業務アプリケーション大手を次々に買収した。PeopleSoftについては訴訟にもなったが最終的に手に入れた。買収におけるオラクルの考えは明確で、OSから業務アプリケーションまでオラクルが扱うすべてのレイヤを強化することということだ。

 OSについてはRed Hat Enterprise Linuxのクローンである「Oracle Enterprise Linux」を推進し、ミドルウェアはBEAシステムズを買収、大幅に強化した。データベースは元々、「Oracle Database」で強みがある上に、オープンソースのデータベースである「Berkeley DB」や、インメモリ・データグリッド製品の「Coherence」を買収した。

 業務アプリケーションは元々持っていた「Oracle E-Business Suite」に、買収したPeopleSoft、Siebelなどを加えてソリューションとしての厚みが増した。縦方向のレイヤだけでなく、業界別アプリケーション、ソリューションという横の買収も進めることで、存在感を強めてきた。業務アプリケーション最大手のSAP追撃も見えてきたといっていいだろう。オラクルはフルスタックのそれぞれのレイヤを強化することで、データベースへの依存度を減らそうとしている。

 ここからは完全な想像だが、オラクルが次に買収するのはどこだろう? 独占禁止法の制限を考えると、オラクルがすでに高いシェアを持つ製品カテゴリの企業を買収するのは今後、難しくなるだろう。買収できるエリアは限られる。その1つは、上位レイヤとなるコンサルティングサービスの分野だ。オラクル自身も世界で1万1000人規模のコンサルティング部門を持つが自社の製品やサービスに特化しがち。自社製品から離れた立場で顧客企業に問題解決を提供するコンサルティング部門を持つことは意味があるのではないだろうか。

 ITベンダのコンサルティング部門強化は歴史的な流れでもある。象徴的なのはIBMによる2002年のPwCコンサルティング買収だ。ハードウェア中心だったIBMがソフトウェアとサービスの企業に変貌することを宣言したともいえる買収だった。日本のITベンダもNECによるアビームコンサルティングへの出資や、日立ソフトウェアエンジニアリングのビジネスブレイン太田昭和の関連会社化など、IBMに続く動きを見せた。図らずも米ベリングポイントが破綻するなどコンサルティング業界は揺れている。オラクルが目を付けてもおかしくはないように思うのだが、どうだろうか。

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