プーリング(ぷーりんぐ)情報システム用語事典

pooling / 資金プーリング

» 2009年05月26日 00時00分 公開

 CMS(注1)が提供する機能の一つ。CMS上に設定した統括口座とグループ会社口座の間で資金(貸借残高)の集中と配分を行うことをいう。

 プーリングは、グループ内の貸借残高を管理する貸借口座(CMS・会計上の勘定口座)における資金操作で、グループ会社の余剰資金を集約し、それを残高不足の口座に供給する。資金不足と資金余剰を調整することでグループ全体での資金効率が向上するとともに、グループ各会社は支払口座の残高管理から解放される。グループ全体で調整してなお資金が余剰ないし不足する場合、資金管理を集中化することにより、資金の運用あるいは調達を一括して行うことができる。

 プーリングは、短期の運転資金を調整するものと中長期の余剰資金/資金需要を調整するものに大別できる。短期の運転資金(流動性資金)を調整は、日次(あるは週次・月次)で残高がプラスの口座から資金を統括口座に移し、マイナスの口座には資金を配分することで実現するが、このとき、各口座の残高を日々ゼロにするものを「ゼロバランス」、あらかじめ設定された金額に保つものを「ターゲットバランス」と呼ぶ。

 中長期の余剰資金/資金需要の調整は、当面は活用するあてのない資金を統括口座に集め、資金需要のあるグループ会社に貸し出す形で実行される。いわば、グループ内金融といえる。余剰資金を持つグループ会社は銀行口座に寝かせておくよりも高金利の資金運用が期待でき、資金需要のあるグループ会社は市中銀行から借り入れるよりも低金利で資金調達できる。

 プーリングを導入すると、グループ全体の資金の動きがガラス張りとなり、グループ各社の財務状態が正確に把握できるようになる。コーポレート・ガバナンスや連結決算、内部統制、リスクマネジメントの観点からも大きなメリットがあるといえる。

(注1)CMS

参考文献

▼『キャッシュマネジメントシステム導入・運営ガイド――グループ経営の効率化を図るCMS』 中村正史=著/中央経済社/2008年12月


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