標準原価計算(ひょうじゅんげんかけいさん)情報システム用語事典

standard cost accounting / standard costing

» 2009年06月23日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 製品やサービスを生産・販売するに当たり、あらかじめ科学的・統計的に“原価標準”を定め、これに実際生産量を乗じて算定した“標準原価”を基礎に行う原価計算の手法のこと。

 標準原価計算は、達成目標である標準原価と活動の結果である実際原価を比較し、その差異を分析することで投入資源の利用能率を高めていく原価管理のために考案された原価計算の方法である。今日では財務会計機構に組み入れられ、原価計算制度の1つとなっている。標準原価計算による原価計算制度(標準原価計算制度)では、原価は事前原価である標準原価を用い、実績値は原価差異を売上原価の一部と期末の棚卸高に分けて損益計算書の売上総利益に加減する形で記帳する。

 標準原価は、製造活動に先立って設定する原価標準(製品単位当たりの原価)に実際生産量を乗じた尺度である。この計算の前提となる原価標準は経験や勘に基づく見積もりではなく、IEの諸技法を用いて科学的・統計的に定められる。そのため、標準原価は過去の実績値とあるべき予定値の要素を持ち、現実のブレや異常値を排除した規範性を持つ値となる。

 標準原価計算は、フレデリック・W・テイラー(Frederick Winslow Taylor)らが展開した科学的管理法(課業管理)の作業標/標準作業の発想を原価計算に適用したものである。これは製造現場の能率測定尺度として導入されたもので、特に投入資源の相対的重要性を把握するのに役立つ。

 ただし近年では、多品種少量生産や製品ライフサイクルの短期化などによって、原価標準の改訂頻度が増え、“真実の原価”としての性質が失われるなど、標準原価計算の限界が指摘されるようになっている。

参考文献

▼『管理会計の基礎』 溝口一雄=編著/中央経済社/1993年3月

▼『原価計算〈6訂版〉』 岡本清=著/国元書房/2000年4月

▼『管理会計発達史論〈改訂増補〉』 辻厚生=著/有斐閣/1988年9月


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