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» 2009年06月30日 12時00分 UPDATE

事例紹介 NTTコムウェア:グリーンIT事例:グリーンITへの取り組みは企業の義務で使命だ (1/2)

地球温暖化などの影響からエコへの注目が集まっているが、日本では洞爺湖サミットが開催されたこともあり、2008年から“グリーンIT”への注目が高まっている。今回は、ITシステムが収納され、多くの電力を消費するデータセンターにおける環境への取り組みを取材した。

[大津心,@IT]

 2008年に洞爺湖サミットが行われたこともあり、昨今“グリーン”や“グリーンIT”への注目が高まっている。また、2009年4月には、東京都の多くの事業所が対象となる「改正東京都環境確保条例」の第1計画期間がスタートしている。

 この条例改正によって、エネルギー消費量の多い大規模事業所だけでなく、テナントビルにオフィスを構える多くの中小企業も温室効果ガスの削減義務対象となった。つまり、東京都にオフィスを構える企業にとっては、グリーンやグリーンITは対岸の火事ではなくなっている状況なのだ。

 そして、削減対象となった企業は、温室効果ガスの総量削減義務を負う。当然、「使わない電気は消す」「エアコンの設定温度を調整する」「グリーン調達を実施する」といった通常のエコ(グリーン)活動も必要だが、IT企業の場合、サーバやPCなどが消費している電力もバカにならない。サーバ台数が多い企業の場合は、より電力効率の良いデータセンターへの切り替えなども考慮すべきだろう。

 そこで今回は、グリーンなデータセンターの建築など、環境に配慮したデータセンター作りに注力しているNTTコムウェア サービス事業本部 サービスプロバイダ部 担当課長 秦豊和氏に話を聞いた。

グリーンITは、企業の環境への取り組みの一部

 まず秦氏は「グリーンITは、あくまでも企業が行うべきエコ活動の中の一部であり、企業はエコ活動を俯瞰(ふかん)的に見て行う必要がある。従って、企業が実施するエコ活動の一部としてグリーンITを実施するべきだ」と前置きした。

 そして、企業が行うべきエコ活動には「調達」や「オフィス環境」「リサイクル・リユース・リデュース(3R)」「社内喚起」といった複数の観点が存在する。例えば、調達であれば、できる限り環境に配慮した原材料を選んだり、CO2を排出しない交通手段を利用したりする方法が考えられる。オフィス環境であれば、前述のように電気をこまめに消したり、お昼休みにはPCの電源を落とすなどの取り組みが考えられる。また、リサイクル・リユース・リデュースの3Rは企業内だけでなく、一般家庭においても重要な取り組みだ。さらに、これらの活動に対して、人それぞれが理解し意識して行動することが重要なのだ。

 企業はこれらの取り組みに加え、自社が排出している温室効果ガスの総量を測り、そのうえで最も効果的に温室効果ガスを削減できるものから、着手する必要がある。また、環境への取り組みは、「CSR(企業の社会的責任)」や社会貢献などの意味合いから、イメージ戦略的な意味合いで行っているケースも多い。もちろん、イメージ戦略として行うのもよいが、現在では前述の東京都環境確保条例や「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」が改正され、法律的にも企業の義務であり使命にもなっているのだと秦氏は強調する。

 つまり、法的に義務化された現状では、日本版SOX法や個人情報保護法などと同レベルで考え、取り組まなくてはならなくなってきているというのだ。

グリーンITの定義とは?

ALT NTTコムウェア サービス事業本部 サービスプロバイダ部 担当課長 秦豊和氏

 そして、その取り組みの一環としてグリーンITにも取り組まなければならない。企業によってITへの依存度は異なるため、程度の差はあるが、取り組むべきである点に違いはない。では、そもそもグリーンITとは、どのようなものなのだろうか。一般的にグリーンITを「Green of IT(IT自体の省電力化)」と「Green by IT(ITを使った人やものの動きを省エネルギー化)」「真のグリーンIT」の3つに分類する。

 Green of ITとはIT機器など自体の消費電力を下げる取り組みで、サーバベンダやCPUメーカーが中心になって現在積極的に取り組まれている。また、仮想化などを用いてサーバの集約化を図る取り組みなどもこれに含まれる。

 一方、Green by ITの影響範囲は広い。現在、世の中のほとんどのシステムはITで制御されており、移動手段である車や電車はもちろんのこと、発電所や下水道などのインフラもITシステムで管理されている。従って、Green by ITの取り組みを強化することで、これらITを使っているシステムの効率化が図れるというものだ。

 そして、3つ目が“真のグリーンIT”だ。真のグリーンITとは、グリーンが標準化され、社会インフラとして整備されるとともに、選択筋が増える状態だ。

 例えば、原子力発電で発電された電力から風力などのグリーンな電力を、いまはグリーン電力として購入することができるが、それが当たり前になる状況が“真のグリーンIT”ということだ。さらに、風力なのか水力なのか、波力なのか選択できることが理想だろう。

 また、インフラのみならず、社内生活においてあらゆるシーンでグリーンが標準化され、さらに選択できる状態が真のグリーンITだと秦氏は主張する。

重要なのは全社的に目標を定めること

 しかし、秦氏はグリーンITに取り組むに当たって重要なのは、手段をどれにするかということではなく、目標を明確にすることだと強調する。

 目標設定に関しては「コンプライアンスの観点」「CSRの観点」「エネルギーを最も消費している部署の観点」などが挙げられる。

 コンプライアンスの観点では、法務部や総務部が中心となって前述の温対法や都条例を遵守できるように対応しなければならない。また、CSRの観点では経営企画室などが中心となって、企業のグリーンITへの取り組みに対する中長期ビジョンを示し、企業イメージの向上などを目指す必要がある。そして、最もエネルギーを消費している部署の観点では、その部署が「最も効果的に温暖化ガスを削減できる可能性が高い」ことから、プライオリティを高くして取り組まなければならない。

 これらの点について秦氏は、「例えば、NTTコムウェアの場合、データセンターの電力消費量が多く、最も効果的に削減可能と考える。従って、データセンターのグリーンIT化を率先して行っている。ただし、これは各社で違うはずだ。メーカーであれば工場だろうし、運送業であれば車の配送部門だろう。このように、この部分に関しては各社異なるはずなので、自社で目標を設定し、その目標に対して最も効果的な手段を実施することが重要だ」と説明した。

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