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» 2009年09月08日 12時00分 UPDATE

達人に聞く“営業の極意”(1):目標から逆算すれば、営業予算を達成できる──ソフトブレーン (1/3)

昨今の不況下でも着実に営業実績を伸ばしている企業も存在する。営業活動には、市場状況に左右されず目標予算を達成するための秘けつがあるのではないだろうか。ソフトブレーンに予算必達の極意を聞いた。

[内野宏信,@IT]

動く前に、目標達成に至るストーリーを考えよう

 業種・業態を問わず、すべての営利企業にとって、どのような状況下でも着実に売り上げを挙げ続けることが存続の必須条件となる。そのためには効率的な営業活動が不可欠だが、具体的には何を心掛けるべきなのだろうか。

 ソフトブレーン 代表取締役社長の秋山氏は、まず日々の活動で陥りがちな問題点を指摘する。例えば「訪問すべき顧客ではなく、訪問しやすい顧客にアタックしている」「計画的に業務を進められず、目の前の仕事だけに追われている」「適切な顧客のターゲティングができていない」──いわば、営業活動によって達成すべき目標が見えてないまま、ひたすら“数”を追っている状態だ。

 「苦しい状況になると、“少しでも多く客先を回ろう”とか“とにかく足で稼ごう”といった精神論に流れがち。しかし、それでは目標予算達成は難しい。まずは目標を見据えて、やるべきことを理詰めで導き出さなければ、活動しても思うような成果は得られない」(秋山氏)

 例えば、目標が『今期予算必達』なら「予算はいくらなのか→その達成のために、いくつの営業案件(営業予材)が必要なのか→それだけの案件を確保するには、どんな販促策を実施し、どの顧客に優先的にアプローチすべきなのか→アプローチは1カ月/1週間/1日当たり何件こなすべきか」といった具合に、目標予算から逆算して日々の活動にまでブレークダウンしていくべきだという。

 「目標から考えれば、誰が、いつまでに、何をすべきかという“プロセスシナリオ”が自ずと明確になる。そのシナリオを基に、どの顧客を、いつまでに受注につなげればよいのか、各営業スタッフが自分の活動のストーリーを描くように日々のスケジュールを立てる。そうすれば必ず効率的な活動ができる」(秋山氏)

PDCAという“当たり前”のことを確実にこなす

 逆に、最も避けるべきは、目標を基準にするのではなく、「できること」を基準にする考え方だ。例えば、目標から日々の活動を考えて「予算必達のためには1日10件訪問しなければならない」と分かった場合、それが物理的に不可能と分かれば、「確度の高い顧客に絞り込み、1日の訪問件数を減らす」など、目標達成のための代替案を考えることができる。

ALT ソフトブレーン 代表取締役社長 秋山真咲氏

 しかし、「できること」を基準にしてしまうと、「物理的に1日3件が限度だ」と考えたとき、それ以上先に発展しない。ともすると「3件しか回れない」という物理的制約のみが課題に思え、「できるだけ回ろう」といった感情論に流されてしまう。

 「すべてゴールから逆算して考える。市場の状況に応じて、目標への到達手段が変わることはあっても、目標を基準に考える軸さえブレなければ必ずゴールに近付ける。強い営業組織とは、予算達成のために、誰が、いつまでに、何をすべきかという“プロセスシナリオ”を理詰めで導き出し、それを着実に実行できる組織だ」(秋山氏)

 そのために、現状のチェックと改善も欠かせないという。具体的には、「目標を達成するために、どれほどの案件を確保すべきか」を「結果KPI」として、「それだけの案件確保のために、どの顧客に、どんなアプローチをすべきか」を「行動KPI」として明確に定義する。そのうえで活動記録を残し、結果KPI/行動KPIと、実際の達成状況の乖離(かいり)を把握、継続的な改善を図る。特に、結果KPI、行動KPIともに、数値だけで考えるのではなく、アプローチ可能な顧客名を列挙したうえで案件総数を導き出すなど、具体的かつ客観的なデータを基に考えることが重要だという。

 「“勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし”(注1)──受注には『運が良かった』など明確な理由がない場合もあるが、失注には必ず理由がある。目標を基準に、計画を立て、実行したら、正確な事実を基にゴールと現状を比較し、改善に努める。目標から逆算して予算達成に至るプロセスシナリオを描き、PDCAサイクルを回すという“当たり前のこと”を確実にこなせるか否かが勝負の分かれ目だ」(秋山氏)


注1: 肥前国平戸藩第9代藩主 松浦静山(まつらせいざん)の言葉。勝利には運など実力以外の要素が作用する場合もあるが、負けた場合は必ず理由があるという意味


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