連載
» 2010年03月03日 12時00分 公開

IT共通基盤を整備せよ(2):アプリの標準化で来るべきクラウド時代への準備を (1/2)

前回はITインフラの全体最適はビジネスプロセス(業務)の整理から始めるという話をした。この業務整理は来るべきクラウドコンピューティングにおいても威力を発揮する。

[生井 俊,@IT]

標準技術・仮想化の影

 ITインフラの整備を考えるうえで、サーバ仮想化は外せないテクノロジだ。現状では、サーバ集約→コスト削減を主目的に取り組む企業が多いようだ。EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクノロジ・ソリューションズ本部 コンサルティング部部長の小坂進氏は「IA(Intel Architecture)サーバが乱立していて仮想化技術を導入するだけで大きなコスト削減ができるお客さまは大体、全体の約5割といったところ」と語る。

 残りの5割はUNIXサーバやメインフレームを使っているユーザーで、典型的な台数構成でいうとIAが80%、UNIXが15%、メインフレームは5%以下という形になるという。これをコスト構造でみるとメインフレームが50%、UNIXが30%で、残り20%がIAになる。

 これらのユーザーにとっては、メインフレームやUNIXサーバの取り扱いがポイントとなる。メインフレームをIA化にするにはコンバージョンが必要になるが、UNIX環境をLinuxに置き換えたり、そのままIAの仮想化基盤上で動かしたりすることに対する技術的な難易度は非常に低くなっている。従ってユーザー企業がUNIXマシンを買い替える際、高価なUNIXマシンではなく、IAサーバ+仮想化を選択することになるはずだ。

 小坂氏は「メインフレームはすぐにはなくならないと思いますが、UNIXは超ハイエンドクラスの領域を除いて5年でなくなるでしょう。そうした市場の流れを肌で感じています」と語る。

 その結果としてインフラは今後、IAサーバ+仮想化で標準化され、部分的に残ったメインフレームも次第に数を減らしていくという形になる。IAサーバの部分も従来の無統制なサーバ乱立型の時代に比べれば、大幅に台数が減っていることになるはずだ。

下がるサーバのウエイト、上がるアプリケーション

 集約によってサーバ群が台数を減らしてIT予算全体におけるコスト比率を縮小する一方で、企業が取り扱うデータ量は依然として拡大するためにストレージ需要も増え続ける。もちろんストレージも仮想化や重複排除などのテクノロジによって無駄のない利用が促進されるはずだが、ITインフラコストの中でストレージが占める割合は大きくなると考えられる。

 ただし、サーバにしてもストレージにしても仮想化され、標準化された状況においてはインフラ選定でメーカーが意識されることはない。ストレージベンダとしてのEMCについて小坂氏は「その時代を先取りした商品が提供できるかが勝負のポイント。常に最先端のソリューションを提供するスタンスは変わりません」という。

 さてメインフレームが当面はなくならないといっても、仮想化+IA化という標準技術への乗り遅れはディザスタリカバリ(DR)対策などの面でも不利だ。DR対象となるプライマリサイトのコストが大きいと、これを冗長化したくてもコスト的に簡単にできないはずだ。他社がフルオープンで安価にDRやITガバナンスを強化していく中で、自社が取り残されるといったリスクも出てくるだろう。中長期にはメインフレームをもマイグレーションしていくロードマップは描いておく必要はありそうだ。

 以上はハードウェア・コストの話だが、EMCジャパンが顧客ユーザーのITコストの構造を分析してみると初期投資が40%、運用コストが60%が一般的だという。その内訳はアプリケーションが50%、ミドルウェアが20%、ハードウェアが30%くらいで、初期投資と運用コストの間に大きな差はないようだ。

 つまり、ITコスト削減に大ナタを振るうためにはハードウェア以上にソフトウェアの部分が重要だということになる。小坂氏は「EMC単独ではできないけれど」と前置きしたうえで、「最近のコンサルティングニーズのトレンドとしては、ネットワークやミドルウェアを含めて、最適化の絵を描いて欲しいという依頼が多い」と語る。

 これはDBMSのライセンス料などは、システム構成によって変わってくるからだという。つまり、インフラをどのように構成するかによってミドルウェアのライセンスコストを下げることができるというわけだ。

 ここまで来ると、その上にはアプリケーションのレイヤしかない。アプリケーションの最適化は業務の最適化であり、必然的にBPRの実施を要請する。インフラと異なり、「コストを下げたいから変えます」といえば済む話ではない。

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