「企業システムのグーグルに」、クリックテックが日本法人設立特別な分析スキルなしで使えるBI「QlikView」の拡販に注力

» 2010年09月14日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 米クリックテックは9月14日、日本法人のクリックテック・ジャパンを設立したと発表した。 BI製品「QlikView」のワールドワイドでの販売の伸びを受けて、日本市場でも120社まで導入企業を増やしており、今回の法人設立を機に拡販に弾みを付けるという。

 クリックテックは米国に本社を置くスウェーデン発のBIソフトウェアベンダ。BI製品「QlikView」は、全データをメモリ上で展開するインメモリ方式を採用することで高速な演算処理を可能にした製品であり、導入期間の短さ、エンドユーザーにとっての使い勝手を追求した点を特徴としている。

 例えば従来のBI製品の場合、OLAPキューブなどの明細データを統計処理した「中間集計データ」を導入前に作成しておき、扱うデータ量を削減することでパフォーマンスを維持していたが、同製品の場合、特許技術によってデータを縮小し、導入前の中間集計の必要性をなくした。これにより、通常は数カ月〜数年かかる導入期間を、数週間〜数カ月まで短縮したという。

 また、従来のOLAPツールの場合、導入時に設計・定義した階層構造に沿ったデータ検索しかできなかったが、QlikViewの場合は中間集計を行わないため、規定された検索パスが存在しない。このため、新たな分析の切り口を設定する際も、IT部門に作業を依頼することなく、エンドユーザー自身で、あらゆる視点から自由にデータを分析できるという。

写真 クリックテック・ジャパン 代表取締役社長 垣田正昭氏

 「従来、分析の新しい切り口を設定する際には、エンドユーザーがIT部門に依頼して、データ検索の設計・定義作業をやり直してもらう必要があった。しかしQlikViewの場合は、Excelを扱える程度のスキルがあれば、エンドユーザー自身で分析の切り口を自由に設定できる。すなわち、ユーザーは自身の思考プロセスに沿って、QlikViewと対話するように情報を分析し、意思決定の手掛かりを柔軟かつ日常的につかむことができる」(クリックテック・ジャパン 代表取締役社長 垣田正昭氏)

 現在、日本国内ではNTTデータ、クレディセゾンをはじめ120社に導入実績があり、「ある部門で導入した感触を受けて別の部門も導入するなど、追加ライセンス販売も順調に伸びている」という。

 米クリックテック エグゼクティブバイスプレジデントのレス・ボニー氏は、「昨今、企業内のデジタルデータは増加の一途をたどっており、データ検索・分析ニーズは年々高まっている。しかし、現在見込まれているBI市場のうち、実際の購入層は市場全体の28%に過ぎず、活用しているのはそのうち1%にも満たないという調査結果もある。いま求められているのはシンプルで、エンドユーザーにとって使いやすく、リアルタイムに結果が得られるBIなのではないか。その意味において、われわれはエンタープライズ・システムにおけるグーグルになりたいと考えている」

写真 米クリックテック エグゼクティブバイスプレジデント兼グローバル営業統括責任者のレス・ボニー氏

 なお、従来は、垣田氏が2007年に神戸に設立したサイロジックを総販売代理店とし、4社のパートナーを通じて販売してきたが、今回の日本法人設立を機にサイロジックを統合し、スタッフ数を拡充するとともにパートナー数を1年以内に倍増させるという。

 垣田氏は、「QlikView最大のアドバンテージは、“定義作業という呪縛からの解放”にある。BIの活用をめぐって、やりたい分析がすぐにできないユーザー部門、短期間で変わる要望に答えられないIT部門の間で、あつれきが生じがちだった。QlikViewはこの問題を解決する。各業界の業務知識と短期間で導入できる機動力を生かしながら、より多くの企業に拡販を図っていきたい」と話している。

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