BIの今後のトレンドは“非構造データ”の分析力にありオンデマンドBIも普及していく

» 2010年10月21日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 独SAPは10月19日(現地時間)、米国ラスベガスで年次の技術者向けイベント「SAP TechEd 2010」を開幕。NetweaverとBusinessObjectsの最新版を発表した。そこで、独SAP ソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデントのマージ・ブレヤ(Marge Breya)氏に主にBusinessObjectsの現状について話を聞いた。

ブレヤ氏写真 独SAP ソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデント マージ・ブレヤ氏

 まず、最新バージョンの「BusinessObjects 4.0」(BO 4.0)の特徴について、ブレヤ氏は「統一されたUI」「多層的なセマンテックレイヤ」「インテグレーション機能の強化」「さらなるユーザー指向」の4点を挙げた。ブレヤ氏は、特にUIやユーザー指向は非常に重要だと強調。例えば、UIに関してはBOを構成するCrystal ReportsやXcelsiusなどの各アプリケーションのUIを「スイート製品のように統一し、使いやすくした」(ブレヤ氏)。

 また、インテグレーション機能の強化によって、他社製品との連携がよくなり、Teradataなどとのデータ連携が強化された。また、ユーザー満足度向上の一環として、データストアの品質向上にも努めたという。

今後注力していくのは“非構造データ”の分析力

 ブレヤ氏によると、BOが今後注力していく分野は“非構造データ”の分析力だという。従来のBIは構造データの分析が中心だった。しかし、今後求められるのは非構造データの分析だという。例えば、コールセンターの現状を分析するために、サポート電話の音声を書き起こしてテキスト化した場合、テキスト上は同じ「分かりました」という単語でも、怒って「分かりました」と言っている場合と、冷静に言っている場合があり得る。しかし、従来の構造データ分析では、この感情の部分を汲み取ることができない。

 BOは2007年にテキスト分析技術の大手「Inxight Software」を買収し、テキスト分析に注力してきた。今後、SAP HANAと連携し、予測エンジンを高速化・強化することで、この非構造データの分析をさらに正確かつ高速に行えるようにしていきたいとブレヤ氏は語った。

オンデマンドBIは中小企業に向いている

 また、ブレヤ氏はSaaS型のオンデマンドBIも今後は伸びていくだろう、と予測する。同社では、4年前からオンデマンド型のCrystal Reportsを提供中。2009年からは、さらに分析機能も備えた「BI OnDemand」の提供を開始。オンデマンド型BIに注力している。

 その背景には、中堅・中小企業におけるBI需要の増加や、大企業の支店などにおける需要増加があるという。これらの規模では、BI導入はコスト的にハードルが高く、オンプレミス型のBIの導入はなかなか難しい。その点、オンデマンド型のBIは初期費用、運用コストともに、オンプレミス型よりも抑えやすい。

 一方で、オンデマンド型の場合、分析元データをアップロードし、分析後は必要に応じてダウンロードもしなければならないため、膨大なデータの分析には向いていない。そのため、データ容量的にも、中堅中小企業向けだとブレヤ氏は言う。

 今後は、同じくSaaS型のリアルタイムコラボレーションツール「StreamWork」との統合も視野に入れているとした。

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