SAMAC、「ソフトウェア資産管理は企業の根幹を支える活動」SAMセミナーを開催。SAMConは「発展的解散」

» 2011年07月26日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)は7月25日、ソフトウェア資産管理(以下、SAM)セミナーを開催し、詰め掛けた多数の聴講客に、SAMの意義や企業の取り組み状況を解説した。併せて、2002年以来、約10年にわたってSAMの普及・啓蒙を進めてきた特定非営利活動法人 ソフトウェア資産管理コンソーシアム(SAMCon)からSAMACが活動を引き継ぎ、SAMconは今年度中に「発展的解散」をすると発表した。

 ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC:association of SAM Assessment&Certification)は、SAMの普及促進、啓蒙を目的に2010年12月1日に設立された非営利型一般社団法人。企業や公共団体等で「SAMがどのレベルまで導入・実践されているか」を客観的基準で評価する「成熟度評価」にかかわる各種事業を行う。

 特に近年、インターネット経由でソフトウェアを入手・利用する環境が整っている。これにより、ソフトウェア資産の確実な管理がセキュリティやコンプライアンスの担保、投資対効果の最大化など、企業活動全般に影響する一大テーマとなっている。そうした状況を受けて、SAMACはSAMConから事業を引き継ぎ、成熟度評価基準の策定・更新をはじめ、成熟度評価資格者の認定育成事業、成熟度評価資格組織の認定事業、企業・組織に対するSAMの成熟度認定事業などを通じて、“健全経営に役立つSAMの正しい普及促進”に一層注力していく構えだという。

写真 JIPDEC 情報マネジメント推進センター 副センター長の高取敏夫氏

 セミナーでは、SAMconとともにSAMの普及促進に取り組んできたJIPDEC(日本情報経済社会推進協会) 情報マネジメント推進センター 副センター長の高取敏夫氏が講演。JIPDECが2011年1月28日に行った「SAMの実施状況に関するアンケート調査」結果を基に、SAMの企業・組織への浸透状況について解説した。

 それによると、回答企業179社のうち32%が「実施中」、14%が「構築中」と回答。導入目的としてもコンプライアンス担保、ライセンス数の適正化、IT資産運用コスト削減などが上位を占め、SAMの意義・効用が着実に浸透しつつあることを裏付ける結果になったという。

 また高取氏は、SAMを導入済み/予定企業の約半数がISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証や、ITSMS(ITサービスマネジメントシステム)認証、さらにはITILの導入にも乗り出していることを指して、「SAMは単独で機能するわけではなく、企業活動を支えるあらゆるマネジメントシステムの基本要素となり得る」と解説。従って、企業活動の基盤を固める上では、漠然とSAMに取り組むのではなく、「取り組みの成熟度を着実かつ継続的に向上させるために、自社の成熟度を客観的に評価する仕組みが必要だ」と力説。SAMACが行う成熟度評価の意義・重要性を強く訴えるとともに、今後もJIPDECはSAMACとともにSAMの普及・啓蒙を推進していくと述べた。

写真 SAMAC代表理事の篠田仁太郎氏

 SAMconでは「平成22年度ソフトウェア資産管理評価検討委員会」の委員長として活動し、SAMACで代表理事を務める篠田仁太郎氏(クロスビート代表)は、「SAMの重要性に対する認識は深まりつつあるが、実現のプロセス、レベルなどの認識については、まだ統一性・一般性に欠けている。この原因としては、SAM導入を正しく理解した人材の不足、SAMの導入組織を客観的に評価、認定する仕組みの不在などが挙げられる。SAMACでは各種事業を通じて、SAMの正しい実践の普及・啓蒙と、企業・組織の健全・効率的な活動を支援していきたい」と力説した。

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