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» 2011年10月11日 12時00分 UPDATE

クラウド時代の業務分析バイブル(4):現場調査の成功は、実施日の選択次第 (1/2)

システム化を考えるための礎となる業務調査。まずは業務調査の核となる「現場調査」の実施日を慎重に決めることが、業務の内容、現状を正確に把握するカギになる。

[西村泰洋,富士通]

 前回は「各種調査手法をどのような順番で使っていくか」についてご紹介しました。今回と次回は業務調査分析の中でも最も重要な「現場調査」について解説していきます。

 現場調査は、現場で業務を実測して、その結果として「業務の見える化・数値化」を実現します。その成功の鍵は、実際に現場に入って調査する前の、準備段階である「業務分析」にあります。業務分析で得た各種資料調査やインタビューなどから最適な調査時期を割り出し、確定するのです。

現場調査は実施時期が肝心

 では、なぜ時期が重要なのでしょうか? それは自分が業務調査を受ける側となった場合を想像してみてください。調査“される”といっても何もしなくても良いわけではありません。調査される対象者が調査票を記入する、調査者が後方などから調査対象者を見て調査記録を取る、あるいは通常業務には存在しない「ITを活用した調査」があるなど、いずれにしてもそれなりの工数が必要となります。

 例えば、あなたが調査をされる側として「8月10日の水曜日に調査をしましょう」と言われたとします。8月10日はお盆前です。業務としては比較的暇な時期であり、お盆休みに備えての業務が中心となります。1年を通じて業務を考えると、イレギュラーな日に当たるため、「何なぜ8月10日に調査するのか?」と疑問を感じることでしょう。これは5月の連休の前後や年末年始などでも同じことが言えます。

 業務がイレギュラーな状況である時期に現場調査をされても、調査をされる側からすれば納得感を持てません。調査される側が納得感を持てない時期に調査をするのは、はっきり申し上げて無駄なことです。工数が掛かることを考えれば、むしろマイナスかもしれません。「現場調査の時期をいつにするのか、どのように確定すべきか」が重要なポイントであるということが理解いただけたでしょうか。

 それでは現場調査をする最適な時期とはいつになるのでしょうか? 結論から言うと、よくある例として以下などがあげられます。

  • 標準または標準より忙しい時期(業務量や時間の視点から)
  • 典型的な業務パターン、別の言い方をすれば対象業務らしい仕事の時期(業務内容の視点から)

最適な時期をどのように見出すのか?

 では最初に時期はどのようにして確定すれば良いのでしょう? まず目安として「1年間の中でどの月にするか」を考えます。

 どの月が適切かを考える上で分かりやすいのは昨年度のデータを見ることです。例えば、工場なら昨年度の出荷実績、営業部門なら受注実績などが挙げられます。年間で見ると例えば図1のようなグラフが作れると思います。

ALT 図1 まずは業務量が平均的な月を調べる

 こちらから、最適な調査時期は5月、9月と分析できます。業務量が平均的な月こそ実際に役立ちやすいデータとなるためです。 ただ、昨年度実績のみの推測ではそのようになりますが、これを一昨年や今年度のデータも調べて、より平均的な月を確認します。

 そうして最適な月を確定したら、次にその月の中でどの日が最適かを分析します。ただ、調査月は12の選択肢から選べば良いわけですが、調査日は31日の中から選ばねばならず、月を確定するよりもはるかに難易度が高いと言えます。これには以下のような多様な考え方があります。

  1. 1日から31日までの「日付け」で考える
  2. 休日や業務のシフトなどを確認した上で、月曜日から金曜日などの「週単位」で考える
  3. 「10日ごと」の単位で考える
  4. 五十日(ごとおび)――「5の倍数日」で考える
ALT 図2 日にちを決める際には、何らかの規則性を見出すことがポイント。その上で、平均的な日にちの候補を考える

 これらを念頭においてデータを分析するのです。その際のポイントは規則性を見出すことです。筆者としては、まず週単位で切って分析することをおすすめします。 というのも、多くの企業では月末ならびに月初の週は、計画、実績把握や請求など、特別な業務が中心となるのが一般的だからです。すると第5週まである月の場合、月末・月初の週を除くことになるため、おのずと第2週、第3週、第4週が調査候補となります。

 その中から、先ほどの業務量と業務内容の2つの基準で候補を絞ります。ここで注目すべきポイントはその業務内容が典型的かどうかです。

 あとは、月や週を定めてきた考え方と同様に、業務量を基準にどの曜日、日にするかを分析します。

 ただし、ここで1つ注意点があります。例えば曜日で言えば、木曜日が最適な曜日と仮定しても、木曜日のみの調査で良いのか、水・木または木・金の2日連続とするのか、あるいは前後を含めた水・木・金の3日間とするかなど、「調査の最小期間」をどう考えるかという点です。これは調査の工数と勘案して決めるのですが、ここでも平均値や規則性を狙う考え方がポイントになります。

 図2を例に見れば、毎週水曜日が業務量のピークで、木曜日が平均か、やや多い日に見えます。そこから考えると1週間の調査が困難な場合は、木曜日を起点として前後の日を組み合わせた方がより平均値に近く、良い調査結果が得られると想定されます。こうして最適な調査日を割り出すのです。

 ただ、ここまでは「業務量」「業務内容」を基準としています。よって、これで日にちを確定してしまわず、最終的には資料調査やインタビューでつかんだ「業務の最小サイクル」も考慮して決定します。

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