ITmedia NEWS >

「モバイル放送」を追いかけた2500キロ――Sバンドを求めて西へ4日間同行レポート(前編)(3/4 ページ)

» 2004年06月15日 09時04分 公開
[粕川満,ITmedia]

 東名で最初にさしかかった都夫良野トンネルは全長が1630メートルある、時速100キロで通過したとしても約59秒、つまり1分ものあいだ受信不能となってしまう。

 サービス開始時にはギャップフィラーが設置されていると思うが、いまのところは手持ちぶさたにぼーっとしているのみ。後から聞いた話だが、このような時のため(でもないのだろうが)、「データ情報サービス」という機能がある。これは、文字を中心とした静止画データを端末内に適当な間隔で受信し、保存しておくというもので、最近、電車の中で放送されている文字情報ニュースをイメージすれば当たらずとも遠からず。トンネル内の1〜2分程度なら、暇つぶしにも使えるのではないだろうか。

 その後、東名で最長の日本坂トンネル(2550メートル)を通過すると、あとは特に途切れるような場面もなく、焼津、浜松と過ぎていく。しかし、途中の豊橋検札所(別名・豊橋バリア)で一時停止したときや、名古屋近辺のインターチェンジで幅の広い道路下を通過したときに、数秒間切れるような場面があった。

 料金所や検札所はETC搭載車であれば通過できそうな気もするが、推奨されているように時速20キロ以下で通過すると、1秒で約5メートルしか進めない。ゲートの幅からして途切れるか途切れないかギリギリの距離だろう。もっとも、私の知り合いで「時速60キロでも通過できたよー」というツワモノもいたので、もう少しばかり速くても大丈夫かもしれないが……(よい子の皆さんは絶対マネしないように)。

 このように、その下に入ると衛星が見えなくなってしまうというポイントは、高速の上でも結構ある。トンネルほど大規模な施設であれば、当然ギャップフィラーの設置は行われるだろうが、こういうちょっとした“上部がふさがれる系”の施設の場合には、設置の判定も微妙になるのではないだろうか。順調にクルマが流れているうちはなんら問題のない構造物だが、ちょっと渋滞でもしようものなら、たちまち受信を妨害する厄介者と化してしまうからである。

この程度の幅であれば通常は途切れることはない

 そんなことを考えているうちに、最後の休憩地点、養老SAに到着。少々の休憩ののち、美しい夕日を見ながらモバイル放送端末を搭載したワゴン(別名モバワゴン)は西へと向かうのであった。

夕日の中、Sバンドを受信しながら突き進むモバワゴン

 この日の宿泊地は京都なので、京都東山ICで降り、一般道を走る。

 東京を出て以来、はじめて市街地を走るわけだが、当然このあたりにはギャップフィラーはまだ設置されていないため、受信状況は一気に厳しくなった。

 京都なのであまり高い建物はないのだが、それでも南側にビルのある道路を走っていると衛星方向の空がふさがれてしまうようである。ギャップフィラーがなくとも、反対側のビルに反射して衛星からの電波が到達するのでは?と期待したが、衛星からの電波は微弱なので、ギャップフィラーからの電波のように反射はしないとのこと。

 そんな時には反対側の車線を走ればOKという意見もあったが、それでは目的地にいつまで経っても着けないではないか。そんな雑談を交わしているうちに、目的のホテルへと到着。時刻は午後8時20分。まだまだ旅は続く。

低層のビルにさえぎられている場合、反対車線からは受信可能なことも多い

朝はモバイル放送でニュースチェック

 翌日は午前8時10分にホテルを出た。撮影のため京都市内を少し回ることにする。

 朝はやはりニュース番組だろうということで、経済ニュースにチャンネルを合わせる。ちょうど三菱自動車の事件が話題になっていた頃で、株価や分析などが出ていて面白かった。「TVは見ないがニュース好き」の私としては、どこでもニュースが見られる端末はなかなか魅力的である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.