コラム
» 2006年05月25日 00時08分 UPDATE

コラム:定着した? 音楽配信の今後の課題 (1/2)

iTunes Music Storeの開始から10カ月。「音楽配信」という言葉を耳にする機会も増えたが、それは音楽配信の定着を意味しているか。意味するならば、新たな課題も見え始めているのではないだろうか。

[渡邊宏,ITmedia]

 「黒船」とまでいわれたアップルの音楽配信サイト、「iTunes Music Store」(iTMS)が2005年8月に開始されてから10カ月が経過した。iPodのヒットもあり日本でのサービス開始が注目されていたiTMSは予想通りの脚光を浴びたほか、同時に同業他社のサービスも活性化され、「音楽配信」という言葉の自体の知名度も高めたといえる。

 松任谷由実や槇原敬之、宇多田ヒカルなど著名アーティストの楽曲が音楽配信で提供されることも珍しくなくなり、各種の調査結果でも「音楽配信は着実に成長している」と報告されることが増えてきたが、本当に定着したのだろうか。定着したとすれば今後の課題は何だろうか。

音楽配信は成長しているか

 まずは音楽配信の市場規模について確認してみよう。日本における商用音楽配信の歴史をさかのぼると、1997年にミュージック・シーオー・ジェーピー、1999年にソニー・ミュージックエンタテインメント、リキッドオーディオがサービスを開始したあたりが黎明期といえる。

 その後、1999年から2001年ごろにかけてエイベックスやポニーキャニオン、東芝EMIらがサービスを開始したが、いずれもCDのプロモーション的な位置づけに過ぎなかったほか、価格・操作性・曲数、いずれにも問題があると言わざるを得ない状態だった。付け加えて言うならば、この時期はブロードバンド環境も一般化しておらず、「4分の曲をダウンロードするために15分かかる」という話も極端な例ではなかった。

 そんな状態の故に利用者も少なく、市場規模としても微々たるものにすぎなかった。事実、日本音楽著作権協会(JASRAC)が発表している使用料徴収額に、PC向け音楽配信が含まれる「その他音楽配信」の項目が登場するのは2003年からであり、日本レコード協会が音楽配信の売り上げ実績を集計・公開し始めたのも2005年11月からだ。

 JASRACが公開している資料によれば、2003年/2004年/2005年の使用料徴収額はそれぞれ4億5956万円/5億8508万円/12億4962万円であり、2005年の伸びが目立つ。一方、同時期のCDからの使用料徴収額は、282億7625万円/267億7384万円/260億4598万円とゆっくり下降線を辿っている。金額的にはまだ一桁違うレベルながら、成長性という点でどちらが有望かは一目瞭然だ。

photo JASRAC公開のCD/着信メロディ/着うた/音楽配信についての使用料徴収額。CDと着信メロディは減少傾向だが、着うたと音楽配信は増加傾向

 10年近い歴史を持つ商用音楽配信だが、これらの数値を見る限り、ようやく国内にも定着し、今後はより市場規模を拡大していくように思える。ただし、配信事業者には既に次の課題が見えつつあるようだ。

いまだ残る課題、見えてきた次の課題

 レコード会社54社が参加する国内最大規模の音楽配信サイト「Mora」を運営するレーベルゲートの鈴木則孝氏(EMD企画部 プロモーション・チーム プロデューサー)は、ビジネスとしては軌道に乗りつつあるとしながらも、現状を「課題は収支以外にもあります」と説明する。

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