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» 2008年12月17日 08時30分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:デジタル分野総ナメ――「2008年デジタルトップ10」 (1/4)

2008年最後の「デジタル閻魔帳」は、麻倉怜士氏が今年を振り返り、特に印象に残ったモノを紹介してもらう「麻倉怜士のデジタルトップ10」。麻倉氏の挙げる、10大トピックとは?

[渡邊宏,ITmedia]

 気が付くと既に12月も半ばとなり、今年も残りわずか。今年最後の「デジタル閻魔帳」は、昨年と同じく麻倉怜士氏が2008年を振り返って特に印象に残ったモノを、ハード・ソフト問わずにランキング形式で紹介してもらう「麻倉怜士のデジタルトップ10」。麻倉氏の挙げる、今年最も印象に残ったデジタルトピックスは以下の通りだ。

〜2008年「麻倉怜士のデジタルトップ10」〜
1位 再生機の価値を示した、脅威の高画質――パイオニア「BDP-LX91」
山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.29:超本格派、パイオニア「BDP-LX91」で体験するBD「ダークナイト」の鮮烈な映像と音
2位 目でも耳でも体験できる“体験2重奏”――NHKクラシカル 小澤征爾 ベルリン・フィル 「悲愴」 2008年ベルリン公演 (Blu-ray Disc)
ステレオの復活、HDオーディオの充実
3位 新時代のデジタル一眼を示す――パナソニック「DMC-G1」
コンデジ感覚の“レンズ交換式デジカメ”――LUMIX「DMC-G1」
4位 プレミアムディスプレイの金字塔――パイオニア「KURO」シリーズ
本田雅一のTV Style:惜別の「KURO」を慕いて(1)本田雅一のTV Style:惜別の「KURO」を慕いて(2)
5位 熟成型もの作りの到達点――キヤノン「PowerShot G10」
3ダイヤルで操作性アップの新Gシリーズ3代目――「PowerShot G10」
6位 瞬間をとらえる相棒――ローランド「R-09」
ローランド、24bit/96kHz録音対応のリニアPCMレコーダー
7位 映像とストリーのシンクロナイゼーション――「善き人のためのソナタ」(Blu-ray Disc)
8位 達成感あるエアチェックHDコンテンツ――「王様と私」(WOWOW)
9位 “イベントカメラ”の壁を打ち破るビデオカメラ――ソニー「HDR-TG1」
日常のヒトコマを手軽に動画で――ソニー「HDR-TG1」
10位 すべての人を驚かせる驚異の電源ケーブル――「Allegro Power Cable」

――ではさっそく始めましょう。10位はアレグロ(Allegro)の電源ケーブルです。この「デジタルトップ10」も2005年2006年2007年と続き、今回で4回目ですが、過去にこうしたケーブル類がトップ10入りしたことはありませんでしたね。

麻倉氏: 元来、ケーブルはあまり凝らない方なのですが、これほど画質・音質を向上させるケーブルは初めてです。電源周りに手を入れれば、画質音質に変化が出ることは分かっていますし、自室には電源レギュレーターを3基導入しているほどです。このあたりの話は「オーディオの作法」(ソフトバンク新書)に詳しく書きましたが、ケーブルを交換するだけでここまでの効果が表れるとは非常に驚きでした。

 それまでもかなり高級なケーブルを使っていましたが、音の鮮度がまったく違いました。堅いところがたちまちほぐれ、ベールが数枚はがれるような効果が得られます。わたしは最上位品を5本も購入してしまいました。その価格以上の音質が得られると判断したからです。自室のAVルームには多くのメーカーの方が試作機を持って訪れますが、このケーブルにつなぎ替えると、反応が面白いですね。みんな、あまりの違いにイスから転げ落ちるほどです。

photo

 このケーブルは米国で映画会社に勤務していたBrent Schoenfeld氏が趣味的に作り始めたものです。完全に手作業で作っていることもあるのでしょうが、注文して半年以上納入されないということもありました。とっても個人的な理由で、気分がのらずに作業が完全にストップしたのです。ですが、それだけの手間をかけて入手する価値はありました。

 基本的にはプロフェッショナル向けの代理店でのみ販売されており、実際、エイベックスやEMIミュージックジャパンなどの録音スタジオにも多く導入されていますが、貸し出しすると、いやだ、返したくないとみんな買ってしまうそうです。すべての人を驚かせ、財布のひもをゆるませる驚異的なケーブルといえるでしょう。

――9位に選ばれたのは、ソニーのフルハイビジョンビデオカメラ「HDR-TG1」です。縦型のスリムなボディで、“世界最小・最軽量”を実現したことでも話題となりました。

麻倉氏: ビデオカメラは利用するメディアこそ変化していますが、その形状とイベントカメラという用途は変わっていません。だからこそ、年間130万台しか売れないという市場規模は変わっていないのです。ですが、YouTubeやニコニコ動画などを見れば分かるように、「動画」へのモチベーションを持つ人は多く存在しています。HDR-TG1は、イベントカメラという壁を打ち破る製品が存在しうることを証明してくれたといえるでしょう。

photo HDビデオカメラとして“世界最小・最軽量”を実現したソニー「HDR-TG1」

 記録メディアにメモリを採用するならば、本体形状の自由度は高くなりますし、小型化も容易なはずです。将来的にはカセットテープサイズまでの小型化が進むでしょう。いつでも携帯でき、しかもハイビジョン撮影という製品が登場すれば、爆発的なヒットとなるでことでしょう。

 また、ニコン「D90」やキヤノン「EOS 5D MarkII」などデジタル一眼レフがハイビジョン動画撮影に対応しつつあるのですから、逆にビデオカメラ側から静止画へのアプローチがあっても良いはずです。

 HDR-TG1に話を戻せば、世界最小を実現したとはいえ、胸ポケットに気軽に入れられるほど小さい訳でもなく、決して100%満足できる製品とはいえません。ですが、いつでもどこでもハイビジョン撮影――「5WH1ハイビジョンビデオ」が登場するための土壌を築く可能性を秘めた製品であることから、期待を込めての選出としました。

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