麻倉氏:去年のCESでは、スマートテレビといえばSamsungが代表格でしたが、今年は各社が独自に打ち出し始めました。まず、LGが自社プラットフォームとGoogle TVの両方を展示しました。独自プラットフォームではアプリの開発も自社で行うようです。
同じくGoogle TVを販売しているソニーは、Android Marketに接続できる第2世代になった12月以降はけっこう売れているそうですね。ユーザーインタフェースも改善され、アイコンの使い方などがスマートフォン的になりました。ソニーの場合、一般的なアプリは「Android Market」に任せ、ユニークなものだけを自社で提供するというスタンスです。
さらに今年の特長として、ソーシャルネットワークへの対応があります。画面の左側にテレビ放送が出て、右にコメントが並ぶスタイルが一般的です。例えば、パナソニックが展示した“Myspace TV”に対しては、皆さん否定的な意見が多いようですが、担当者に話を聞くとけっこう面白い。Myspaceは音楽に強いSNSで、ネットワーク上で楽曲を作ったりするそうです。
パナソニックは、2008年頃から「Skype」や「Youtube」といった機能をテレビに搭載していますが、VIERAは同社のサーバを介して各サービスに接続するスタイルなので、どのような使い方をされているのかが分かります。それを分析すると、例えば米国から東欧への国際電話に使われたりと、移民の国である米国ならではの用途が見えてきたのです。テレビにとって、コミュニケーションは重要なアプリケーションになっています。
麻倉氏:もう1つ特長的だったのは、タブレットやスマートフォンといったテレビ以外のデバイスを活用する動きです。例えば東芝は北米向けのテレビにRoviの「TotalGuide」を採用しました。これは、テレビ番組とVoDを一括検索して、さらに出演者などの情報も出てくるコンテンツガイドです。手元のタブレットなどで操作して、映像はテレビに映し出すセカンドスクリーンのスタイルですね。また、東芝ブースでは、有機ELを搭載したタブレットのほか、21:9の画面を搭載した“マイクロシアター”など、面白いタブレットを見ることができました。
一方、昨年注目を集めたパナソニックの「VIERA Tablet」ですが、こちらは結局、商品化しないことに決めたそうです。VIERA Tablet向けに開発した技術は、iPhone/iPadなどに向けてアプリを提供しつつ、一方で「TOUGHBOOK」のタブレット版(日本では『TOUGHPAD』として企業向けに販売している)を活用してさまざまな機能を入れ込む方針です。TOUGHBOOKは、米国ではかなり人気のあるPCですから、そのブランドを生かすつもりなのでしょう。これも東芝同様、タブレット上でコンテンツを選び、テレビに映し出すセカンドスクリーンタイプの使い方ですね。
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