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ぜひ見ておきたい高画質&高音質Blu-ray Discたち――「第6回DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」(前編)麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/2 ページ)

» 2014年02月26日 17時42分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 デジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン(以下、DEGジャパン)主催の「第6回DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」表彰式が行われ、昨年1年間に発売されたBlu-ray Dsicの中から優秀な作品が選出された。今年も審査委員長を務めたAV評論家・麻倉怜士氏に今年の傾向と注目作品について詳しく聞いていこう。

2月13日に開催された表彰式の様子(左)。審査委員長を務めたAV評論家・麻倉怜士氏(右)

――まず、Blu-ray Disc市場について教えてください。まだDVDを完全にリプレースしていないと思いますが、一方でネット配信などのライバルも登場しています。

麻倉氏: そうですね。ちょうど表彰式の前日に発表されたジーエフケーマーケティングサービス ジャパン(GfK Japan)のデータによると、DVDやBlu-ray Discなどを含めたセル映像ソフトの市場は、数量で5018万枚と前年比3%減、金額も前年比1%減と微減しました。

 しかし内訳を見ると、Blu-ray Discに関しては1573万枚と数量は前年比23%増、金額も882億円と前年比29%増となっています。世界的に見でもDVDからBDへの移行は進んでいますが、日本は欧米に比べても転換が早い。中でも国産アニメの劇場公開作品などが好調で、それがBD市場にも影響を与えています。

 私は毎年のように「パッケージ賞」の新設を提案していますが、実はアニメ作品のパッケージは非常に豪華です。BDに収録されるのは、しっかりリストアやリマスタリングが行われた映像で、中には12bit表現のMGVC(MasterGrade Video Cording)に対応したものもあります。さらに詳細な解説書が付属するなど、ファンが所有してうれしいものに仕上げています。

 今後、ダウンロードやストリーミングで映像コンテンツに触れる機会は増えてくるはずですが、ファンの作品に帯する愛情を受け止めるメディアとしてパッケージの重要性は変わりません。また、大画面テレビやプロジェクターを活用したホームシアター的な作品鑑賞はやはり“王道”であり、その周辺を支えるエコシステムとしてパッケージも重要な位置を占めています。アニメには、その世界ができているんです。

――アニメといえば、今年からブルーレイ大賞の「ベスト高画質賞/アニメ部門」に「TV・その他」というカテゴリーが新設されました。

麻倉氏: そうです。アニメ部門はこれまで「洋画」「邦画」という分類しかありませんでしたが、それを分割して現状のBD市場の動向に沿ったジャンル付けを行ったわけです。

 ブルーレイ大賞も今年で6回目を迎え、主催者はいかに注目度を上げるか、いかにBDの売上げ増につなげるか工夫しています。ジャンル分けの見直しもそうですが、数年前からアワード関連のPOPを作り、ビデオレンタル店やBD販売店の店頭に設置するなど、コミュニケーションを強化しています。とくに、何か面白いモノを探しに来店したお客さんには適切なアドバイスになっていると思います。

――今年はBDのエバンジェリストといった役割のアンバサダーに女優の吉本実優さんが加わりました。

アンバサダーを務める竹中直人さんと吉本実優さん。竹中さんは今年も映画作品に対する愛をたっぷりと語ってくれた

「クルードさんちのはじめての冒険」がお気に入りという吉本実優さん。トロフィーの授与にも参加した

麻倉氏: 昨年は竹中直人さんだけだったのですが、今年は吉本実優さんが加わり、アンバサダーも2人になりました。竹中さんは“映画人”であるとともに、大の“映画鑑賞人”でもあるので、作品に対する愛を語ってもらいました。吉本さんもアニメが好きで、中でも「クルードさんちのはじめての冒険」がお気に入り。国民的美少女コンテスト出身の吉本さんは注目度も高く、私は第1回から表彰式を見ていますが、今年は一般紙のカメラマンが増えていましたね。

――主催者のコミュニケーション強化に一役買っているわけですね

麻倉氏: ブルーレイ大賞には、さまざまな狙いがあります。その中には、国内の映画制作者のモチベーションアップも含まれます。資金力やリソースを考えるとハリウッドにはかないませんが、画質や音質、なにより内容の良い作品を出していけば、しっかりと評価される。そういう状況を作ることが重要です。アンバサダーの2人には、そのPRも兼ねて参加してもらっているのです。

 では、今回の受賞作品の中から、注目作をピックアップしていきましょう。

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