音質を決めるDACチップには、ESSテクノロジーの最高級チップのモバイル版「ES9018K2M」を採用。PCM系は最大384kHz/32bit、DSDも5.6MHzまでネイティブ再生が可能だ(ASIOとDoPの両方をサポート)。アシンクロナス伝送のサポートに加え、44.1kHz系と48kHz系のクロック発振器を個別に搭載して音源に合わせたクロックを生成する。
アンプ部はフルバランス回路設計。デジタル回路とアナログ回路、電源回路を分けたパレーション基板とし、DACから出力段までの相互干渉を避ける。またDACはあえて基板の裏側に配置し、銅製の極太ジャンパーでグランドにつなげた。
「目指したのは、入力された音の情報をもれなくユーザーの耳に届ける“フルコンプリートサウンド。女性ボーカルのつややかさ、男性ボーカルの力強さを伸びやかに表現しつつ、芯のしっかりしたキレとノリの良い低音、透明感と開放感を実現したかった」(林氏)。
外観同様、音をカスタマイズする機能も充実させた。例えば「ロックレンジアジャスト」は、DACのロックレンジ精度を調整して微小なジッターの影響を排除するというもの。先に登場した据え置き型DAC「U-05」に採用され、林氏も実際に体験して衝撃を受けたという。今回は4段階とU-05(7段階)には及ばないが、使い方は同じ。再生しながらロックレンジを狭めていき、音が途切れたら1つ戻ればいい。
デジタルフィルターは「SHARP」「SLOW」「SHORT」の3種類。また96k/192kHzのアップサンプリング機能も備えている。これら音質のカスタマイズ機能は、側面のスイッチで切替や調節が行える。またその横には入力信号のサンプリング周波数とビット数が一目で分かるインジケーターを装備。「確かにハイレゾ信号が来ている!と実感できる仕組み」(林氏)。
内蔵のリチウムイオンバッテリーは3200mAhの容量を持ち、iOS端末のデジタル接続で最長4.5時間、アナログライン入力なら最長6時間の連続駆動が可能だ。充電はPCとのUSB接続で約7.5時間となっているが、急速充電器にも対応する。1アンペアの充電器なら約4.5時間で満充電となる。
発表会の後半は、オーディオ評論家の野村ケンジ氏、アニメソングレーベルの「ランティス」でプロデューサーを務めるアイウィルの佐藤純之助氏が登壇。さまざまなこだわりをもって開発された「XPA-700」について語った。
さらに佐藤氏は、「XPA-700」向けにカスタマイズしたアニメソングを1曲作ると提案。楽曲や提供手段は未定ながら、製品購入者の特典になるという。
「普段のミキシングは、幅広いユーザーを考慮して音を作らなければならないが、一度、特化した音を作ってみたかった。既存の楽曲をハイレゾでリミックスするか、マスタリングし直すか分からないが、XPA-700で“最高の音”を奏でるサウンドをレーベル(ランティス)から提供したい」。
なお、「XPA-700」の音質チューニングでは、リファレンスとして多くのアニメソングが使われていたという。アニソンハイレゾ配信の仕掛け人としても知られる野村氏は、「クリエイターと技術者が新しい一歩を踏み出す提案」と評価した。
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