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“禁断の設定”を開放!?――パイオニアが投入したUSB-DAC「U-05」のマニアック度(1/3 ページ)

» 2014年06月17日 01時36分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パイオニアは、ヘッドフォンアンプ内蔵USB-DAC「U-05」を7月下旬に発売する。同社として初となるUSB-DAC製品は、オーディオメーカーならではのこだわりにマニア向けの機能をプラスしたアグレッシブな製品だったようだ。商品企画を担当した田口浩昭氏に詳しい話を聞いた。

「U-05」とパイオニアホームエレクトロニクス事業企画部商品企画部コンポーネント企画課の田口浩昭氏

 「U-05」は、「USB-DAC内蔵ヘッドフォンアンプ」ではなく、「ヘッドフォンアンプ内蔵USB-DAC」をうたっている。まず、その理由をたずねると、「パイオニアはUSB-DACメーカーとしては最後発になりますが、AVアンプや単品ステレオアンプでDAC周辺のノウハウを蓄積してきました。2012年の『A-70』で初めてESSのDACを採用し、『SC-LX87』でマルチチャンネルのAVアンプに展開するなど、開発期間を含めると丸3年ほどになります」という。その技術を活かした製品だからUSB-DACをメインにしたわけだ。

本体サイズは296(幅)×101(高さ)×271(奥行き)ミリ。重量は6.3キログラム

 蓄積したノウハウとは、主にマルチチャンネルDACの使い方に関する部分。「SC-LX87」に採用した「ES9016」は8ch DACだ。今回の「U-05」でも「ES9016」を2基搭載し、左右それぞれを8chパラレル駆動という、ぜいたくな仕様になっている。開発中にはハイエンドの「ES9018」を使うことも検討したが、「ES9018を1基で使うより、ES9016の2基使いにするほうが、これまでの技術が活かせる」と判断したという。

 「パラレル駆動にする理由はS/Nの向上です。8ch DACを1chに使用する場合、信号レベルの上限が8倍に増える一方、ノイズは“ルート8倍”の計算となり、実質2.6倍です。相対的にS/Nが良くなる仕組みです」(同氏)。

DAC基板。ESSのDACチップが2つ載っていることが分かる

 「U-05」は最大384kHz/32bitのPCM音源とDSD 5.6MHzをサポートし、ASIOドライバーによるDSDネイティブ再生が可能だ。もちろん内蔵クロック回路で伝送を制御するアシンクロナス転送でジッターを低減。さらにヘッドフォンアンプ部は、ディスクリート回路で構成し、DACからヘッドフォン/ライン出力に至るアナログ伝送部はフルバランス方式とした。ヘッドフォン出力には標準ジャック(アンバランス)のほかにXLR3、XLR4という2つのバランス出力を設けている。

ヘッドフォン出力は3つ。左の出力セレクターでヘッドフォン1〜3とラインアウトを選択する

 「このクラスの製品になると、大型ヘッドフォンがターゲットになります。4芯のXLR4、L./RタイプのXLR3の両方をサポートしておけば、そうしたユーザーのニーズに対応できます」。

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