ポータブルオーディオでも存在感を示すコード
Blu MkIIの衝撃的な発表会から約1カ月半。 3月16日に今度はポータブルヘッドフォンアンプ「Mojo」(モジョ)専用モジュール「Poly」(ポーリー)とその抜きんでたDAC性能で大きな話題となったコンパクトDAC、「Hugo」(ヒューゴ)の後継機「Hugo 2」が発表された(発売は5月頃の予定)。
Polyは、人気の高いMojoにジョイントして使用するワイヤレスネットワーク対応のSDカードリーダーモジュールだ。スマートフォンなどのMusic Play Daemonアプリを利用して、microSDカードの音楽データを再生するプレーヤー機能と、Wi-Fiを利用してDLNAやAirPlay、roon(ルーン)でのワイヤレスストリーミング再生を可能にするネットワークプレーヤー機能、そしてBluetooth再生機能を有する興味深いオプションモジュールなのである。
使用法は簡単で、Wi-Fiを介してPoly内の設定メニューにPCやスマートフォンでアクセスし、Polyを接続させるWi-FiルータのSSIDとネットワークのパスワードを入力すれば設定は完了。roonを使用する場合は「roon」を、DLNAやAirPlayの場合は「Other」を選択すれば、POLY+Mojo+スマートフォンで、自在にネットワークオーディオが楽しめるようになるわけだ。
MojoにPolyをジョイントし、Music Play Daemonアプリをインストールしたスマートフォンを用いて、microSDカードの音源やDLNAやAirPlay 、roonを用いたTIDAL (タイダル)の音源などをストリーミング再生して手持ちのヘッドフォンで聴いてみたが、驚いたのはそのクイックな反応と安定感だった。
再生法(プロトコル)をさまざまに変えてみても、音飛びやノイズが発生することなく、指定した音源が瞬時に、スムーズに再生されるのである。これは使い始めたら、もう楽しくて仕方ないだろう。
Polyはファームウェアのアップデートによって進化させることが可能。発表会に出席した同社CEOのジョン・フランクス氏によると、近々MQA のソフトウェア・デコード機能の追加を予定しているとのこと。つまりTIDALで開始されたMQAによるハイレゾ・ストリーミング(TIDAL MASTER)にPolyが対応できるようになるわけで、これはとても楽しみな展開だ(しかし、いつになったらわが国でTIDALの正式なサービスが開始するのだろうか……)。
一方、ロバート・ワッツ氏が考案した2段構えのWTAフィルターの演算精度を4万9195タップに進化させたHugo 2(オリジナルHugoは2万6368タップ)の音はさすがに素晴らしかった。ハイレゾファイルを収めたMacとHugo 2をUSB接続し、手持ちのヘッドフォンでその音を聴いてみたが、演算精度の向上がうなずける音の透明度の高さをリアルに実感した。筆者はオリジナルHugoも所有しているが、明らかに一皮むけたサウンドに進化したと確信させられたのである。
また、オリジナルHugoに比べてRCA出力端子の間隔も広げられ、ちょっと高級なケーブルを用いて据置き型D/Aコンバーターとして使いたいという向きにも、一層フィットする仕上がりになっていることも注目ポイントだろう。
Hi-Fiオーディオとポータブルオーディオ、スピーカーリスニングとヘッドフォンリスニング。その両方で最高のデジタル・サウンドを提供しようとする英国コードの快進撃は止まることを知らない。それぞれのリスナーの聴取環境に合せて各モデルの音をぜひ体験してほしいと思う。
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