開発陣に聞くARROWS NX F-06Eの「ダイヤモンドタフコート」汚れが付きにくく傷に強い(1/2 ページ)

毎日持ち歩くスマホにとって気になるのは傷や汚れ。富士通のARROWS NX F-06Eに採用された「ダイヤモンドタフコート」は、表面の耐久性をアップさせることで傷を付きにくくした新技術だ。

» 2013年07月26日 10時00分 公開
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 富士通のNTTドコモ向けスマートフォン「ARROWS NX F-06E」といえば、5.2インチフルHDとハイスペック端末らしい大画面ディスプレイを搭載し、さらに地上デジタル放送の「フルセグ」対応や1630万画素の高解像度カメラなど、機能の多彩さが特徴に挙げられるモデル。そしてQualcomm製の1.7GHzクアッドコアプロセッサーや2Gバイトの大容量RAMにより、快適に操作できる点も好評だ。

photophoto 「ARROWS NX F-06E」

 一方、毎日使う上で気になってくるのがそのデザイン。ARROWS NX F-06Eのボディは使い飽きないシンプルなデザインでサイドにアルミパネルを採用、背面はサラッとした手触りのマット仕上げになっている。そしてこの塗装には、本物のダイヤモンド粒子を加えた「ダイヤモンドタフコート」が施された。従来からある「ウルトラタフガードplus」と組み合わせて、通常の塗装の約3.5倍(※)の耐久性を実現したという。

※富士通の独自試験結果。「ARROWS X F-05D」との比較

 「使っている間はずっときれいなままで維持したい」。そんなユーザーの要望を受けて富士通は、かねてから端末の塗装自体を強くする方法を追求し続けてきた。ダイヤモンドタフコートとはいったいどんな技術なのか。富士通でさまざまな新技術開発に取り組んでいるモバイルフォン事業本部 先行開発統括部(※)のマネージャー稲村良作氏と、ARROWS NX F-06Eの商品企画を担当した吉田雄一氏に話を聞いた。

photo 富士通の稲村氏(写真=左)と吉田氏(写真=右)
※取材時

「ダイヤモンドタフコート」とは

――(聞き手、ITmedia) 富士通端末は「ダイヤモンドタフコート」以前にも塗装面を強くするコーティングを採用しています。いったいどんな経緯で始めたのでしょうか。

稲村氏 フィーチャーフォンのころからですが、携帯電話は使っていると塗装が傷ついたり、剥げたりすることがあります。特に蒸着塗装や出っ張り部分の塗装が傷付きやすく、剥げやすいところです。そこで傷が付きにくく、剥げにくい塗装を研究したのがきっかけです。

 まずは塗装膜の構成を変えて強くしようと、いろいろ試しました。最初に製品化したのは、2011年発売のフィーチャーフォン「F-04D」と、当時世界最薄のスマートフォンだった「ARROWS μ F-07D」です。時期は同じですが、ケータイとスマホでは手法が異なっていました。

 F-04Dはディスプレイの背面にカーボンファイバーやチタンコーティングを使った“タフさ”をコンセプトにする端末でした。この本体の裏面に「タフシールド」という特殊加工を施しています。本体のカラー塗装の上に3層のコーティングを重ね、表面のUV塗装で仕上げています。ARROWS μ F-07Dには、2層のコーティングを表面に施した「ウルトラタフガード」を採用しました。

 その後、2012年の冬モデル「ARROWS V F-04E」からは、指紋や汚れが付きにくい「ウルトラタフガードplus」が使われています。スマートフォンはガッチリ握ったり、タッチ操作で画面に直接触れたりしますから、使っていると手の脂が付き、いろいろなところの汚れが目立ちます。正面のサラサラコートディスプレイは別の処理方法で皮脂や指紋を目立ちにくくさせています。そのためARROWS V F-04Eからは汚れが付いても拭き取りやすくなりました。

―― 最初は塗装が剥がれにくいことを目的に開発し、その後、汚れが付きにくい機能が追加されたわけですね。

稲村氏 そうです。そして今回のダイヤモンドタフコートは、「もっと強く、傷が付きにくく」をテーマに開発しました。今はケースを使われる方もいらっしゃいますが、単体で持つ人も多いので、それでも長くきれいに使ってもらいたい。スマートフォンは高価なものですし、特に日本では携帯電話やスマートフォン自体がアクセサリー的な感覚がありますから。

―― 塗装の剥がれを防ぐ具体的な方法を教えて下さい。塗料を厚くしているのでしょうか?

稲村氏 F-04DやARROWS μ F-07Dでは、塗装膜中の色がついている有色層という層が傷つかないよう、コーティングを重ねています。端末本体の“地”の色はプラスチックの素材そのものの色なので、塗装が剥がれたり、有色層まで大きく傷ついたりするとすごく目立ちます。コーティングを重ねているのは、傷が付いてもそういうところまで見せないようにするのが目的です。塗装が剥がれにくいというか、「下地が見えにくい」「塗装が削れにくい」といった表現が正しいですね。

―― コーティングをどう重ねていくかで、タフさは変わるわけですね。

稲村氏 本当はまったく傷が入らない方がいいんですが、例えばフィーチャーフォンでは、仕上げに使うトップコートをあまり硬くしすぎると逆に都合が悪くなるので、そこそこの硬さで対応しています。ただ、それだけではちょっと弱い。そこでF-04Dのタフシールドは、UV塗装のトップコートの下に、タフシールドコートというクリア層を2層入れています。有色層が図のようにクリア層の下にあるんですが、ここまで傷を行かせないというのがコンセプトでした。

photo タフシールドの構造。本体カラー塗装の上に数層のタフシールドコートを重ね、カラー塗装まで傷が入り込むのを防ぐ

 (スマホ向けの)ウルトラタフガードの場合は、タフガード層というコーティングをAとBの2層入れています。これをもう少し薄くしようと取り組んだのがウルトラタフガードplusです。

photo ウルトラタフガードの構造図。2層のタフガードをカラー層の上に重ねている
photo ウルトラタフガードplusの構造。コートが1層になって薄くなった

 ARROWS NX F-06Eのダイヤモンドタフコートも考え方は同じです。今回、ダイヤモンドの粒子を入れたカラーA層という塗装面は、パールなどのキラキラした素材がほとんど入っていない層です。万が一、傷がそこまで到達してもそこで食い止め、その下のカラーB層まで傷が広がらないようにしています。

photo ダイヤモンドタフコートの構造図。トップコートとカラーB層の間、ほぼ透明のカラーA層にダイヤモンド粒子を加えて硬度を高め、下のカラーB層に傷が届きにくくなっている

―― 塗装とコーティングには具体的にどういう素材が使われているのでしょうか。

稲村氏 材質としては通常の塗装と同じ樹脂です。ウルトラタフガードのタフガードA層とB層は硬い表面保護層で、普通の携帯電話の表面保護層で使われているものと同じ系統の塗料です。それを2層にして使っています。3層のタフシールドコートはウルトラタフガードとは違い、有色層に使われるものと似たようなコートです。

 少し違っているのが今回のダイヤモンドタフコートです。ダイヤモンドタフコートは、有色層に使われるコートの中にダイヤモンド粒子を少し入れています。これを入れることによって、塗装膜自体が硬くなる。それで削れにくくなるという効果を利用しています。

―― カラー層の上にあるということは、ダイヤモンドタフコート自体はほぼ透明なんですね。

稲村氏 そうです、本来は色には影響を与えないものです。当然ですが、電波や放熱にも影響しません。携帯電話の基本機能には影響しない程度のものです。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2013年9月30日

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