第20回 iPhoneでデジタルズームを上手に使う:荻窪圭のiPhoneカメラ講座
デジタルズームといえばあまり積極的に使わないようにという風潮だけれど、ズームする、つまり焦点距離が変われば写真の写りも変わる。「近くのモノをカタチ良く撮る」時にも有効なのだ。
ふと気が向いたのでデジタルズームの話、Part2をいたします(Part1はこちら)。
デジタルズームといえばまあ普通「遠すぎて何がなんだかわからないからデジタルズームででかく撮っちゃえ」てな感じで使うのだが、もうひとつ、こういうときも使えるよというのを思い出したのだ。
とりあえず次の4枚を、サムネイルで見ていただきたい。
同じカメラを同じiPhoneで撮った写真だけど、ずいぶん写り具合が違う。実はこれ、同じものを撮影距離をかえつつ、デジタルズームで撮ったものなのだ。
左上から順番に、等倍(つまり普通の撮影)、2倍、3倍、6倍である。等倍の写真はギリギリまで近づいて、2倍以降の写真は少しずつ撮影距離を離して、カメラ全体がはいるようにして撮ってる。
こんな感じ。
iPhone標準レンズはけっこう広角である。広角で近距離にあるものを写すと遠近が強く出る。こういう四角いものを撮ると、下に向かってすぼまって見えるわけである。
だからこういう四角い製品の形をきれいに撮りたいときはちょっと望遠にする。でもiPhoneは光学ズームを持ってないので、そのかわりにデジタルズームを使ってみたのだ。
だがしかし。サムネイルでは問題ないけど、等倍表示すると、デジタルズームをかけたものはどうしても粗い。これは室内で撮った写真なので、ISO感度が上がっている分、余計粗くなる。
どのくらいならOKか。
「2倍」のデジタルズームにすると、面積は「1/4」になる。
iPhone5の場合、センサーの画素数は800万画素(3264×2448ピクセル)なので、1/4だと縦横それぞれ半分になるから「1632×1224」。200万画素相当を使うわけだ。それを800万画素に「拡大処理」したのがデジタルズームで撮った写真ってことになる。
ちなみに、フルHD(1920×1080ピクセル)といわれるサイズがだいたい200万画素相当(縦横比が違うので比べづらいけれども)。RetinaのiPad(2048×1536ピクセル)が300万画素相当。
ってことは、iPhoneなどスマホで見る分には、2倍までならデジタルズームを使ってもそう画質の劣化は気にならないってことでいいんじゃないかと思う。
3倍まで上げるとちょっと劣化が目立つけど、TwitterやInstagram、FacebookなどにアップするくらいならまあなんとかOK。6倍まであげちゃうと……さすがにちょっとざらつきが目立ちすぎるので避けたい。
つまり、2倍くらいのデジタルズームなら「遠くのものを少しでも大きく撮る」以外に、近くのものを形よく撮るのにも使えるよ、って話である。
この手は屋外でもけっこうイケる。
たとえばとあるお寺の本堂。全体を撮るとこんな感じになる。
では同じくらいの範囲が入るよう、ちょっと離れてデジタル2倍ズームで撮ってみよう。
で、撮ったのがこちら。
同じ建物でも、2倍のデジタルズームでちょっと離れて撮った方が遠近が極端に出なくて形がよく分かるのだ。もうひとつ、2倍でもデジタルズームかけてやると、背景がすっきりする。広角だと背景が広く入るので時には明るいところがちょっとアレなことになったりする。
逆に背景を広く入れたいときはデジタルズームなんて使わずに一歩近寄って撮るべし。
さらにもう一丁。
デジタルズームをかけた写真は、拡大表示したりパソコンで等倍で見ると明らかに劣化が目立つので、むやみに使うのは勧めないけれども、2倍以下なら、上手に効果的に使うのは手だよ、という話。
デジタルズームは上手に使いましょう。
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