「価格競争には追随しない」――“付加価値”で勝負する「mineo」の秘策とは:1Gバイトプランを残した理由は?
ケイ・オプティコムの津田マネージャーは、「mineo」は価格競争ではなく付加価値で差別化を図る方針だと発表。今後はプロモーションに注力し、テレビCMなどで国内の認知度を上げていく。
「価格競争には追随しない」――。12月18日に従来の料金プランを値下げした新料金プランと新端末を発表したケイ・オプティコムだったが、「値下げは事業的に厳しく、今後は価格より質で勝負する」(ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ 津田和佳マネージャー)という方針を明らかにした。津田氏は「メジャー感が欲しい。契約ユーザーを現在の4.2万人から10万人にするためにも、安心感を打ち出す必要がある」と説明。2015年1月からテレビCMを全国にオンエアし、今後はプロモーションに注力していくと発表した。テレビCMを展開する理由の1つとして、津田氏は「CMを打つことで、こいつらは何があっても逃げないんだなというイメージも伝えたい」と意気込みを語った。
津田氏は「価格よりも快適に使えるかどうか」が重要だと考えている。「質」の内容は、具体的には、ネットワークのつながりやすさ、さくさく動く快適さを指すという。津田氏は「auのプラチナバンド(800MHz帯)はエリアが広く、ドコモよりも基地局に対するユーザー数が少ないので、相対的につながりやすい」と胸を張る。
mineoはau回線を利用したMVNOサービスで、2014年6月3日のサービス開始以来、順調にユーザー数を伸ばしている。MNPで流入してきたユーザーが3割を占め、「1台目のメイン回線として評価してもらっている」と津田氏は話す。データ通信のみのプランと音声通話付きプランを契約するユーザーの割合はほぼ半々。
今回、2015年2月から1Gバイト850円(税別、以下同)、2Gバイト980円、4Gバイト1580円の新プランを提供すると発表したが、1Gバイトプランは「あえて残した」(津田氏)という。各MVNOがデータ容量を1Gバイトから2Gバイトに増量しているが、津田氏は「7割のユーザーが、月1Gバイト以下しかデータ通信をしないということが分かった。『必要なものを、必要なだけ』というmineoのコンセプトに基づき、需要の高い1Gバイトプランを残した。無制限プランを提供する会社もあるが、我々は必要ない。たくさん使いたい人は大手キャリアを選べばいい」と説明した。auの通信接続料はドコモより割高だが、その差額も年々少なくなっており、「その分をユーザーに何らかの形で還元していきたい」と津田氏は続ける。
2015年1月以降は、ケイ・オプティコムとユーザー、またはユーザー同士が交流し、情報を共有できるようなファンサイトを開設予定。2月には直近3日間の通信量が500Mバイトを超えた際の通信速度制限を撤廃したり、春以降は高速通信のオン/オフを切り替えるターボ機能を追加したり、家族以外のユーザー同士でデータ通信量をシェアできる「パケットギフト」を提供したりと、ユーザーの利便性を向上させるサービスや機能を随時展開していく。
新端末「LUCE」(ルーチェ)は、京セラ製のエントリーモデル。540×960ピクセル表示対応の約4.5型TFT液晶、1.2GHz駆動のクアッドコアプロセッサ、有効約800万画素のメインカメラなどを搭載し、防水/防じん/耐衝撃性能に対応。京セラ独自の「スマートソニックレシーバー」も備える。一括価格は3万3600円(1400円×24回)で、音声通話付きの「デュアルタイプ1Gバイトコース」の場合は月2860円(新プラン)から利用できる。
iOS端末への対応について、津田氏は「まだ非対応で原因は不明。KDDIとAppleに申し立てをしている」と話した。
価格以外の勝機をどこに見いだす?
価格競争以外で勝負をかけると発表したケイ・オプティコムだが、月1Gバイトを660円で利用できる「DMM mobile」や、同じくau回線を利用する「UQ Mobile」の参入など、競争環境は厳しい。「市場変化が激しく半年後も読めない市場」と津田氏自身も話しているが、ネットワークの快適性のみではユーザーにとって大きな魅力とはなりにくいだろう。UQ Mobileについては「まだ影響は分からない。MVNO市場全体の活性化という意味では参入は喜ばしいこと」とコメントした。独自の販路開拓も課題に挙がるが、まずはどのような付加価値を打ち出すのかを明確にする必要がある。
今後テレビCMを展開する上で、「OCN モバイル ONE」のようにキャラクターを全面に押し出すものにするのか、関西企業特有の雰囲気を打ち出すのか、プロモーションのコンセプトに注目が集まる。
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