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ソフトバンクがライトユーザー向け「1GB4900円プラン」を投入――総務省の意向に従うも、「ガス抜き」に近い、やる気のないプランに好感石川温のスマホ業界新聞

ソフトバンクが1GBで合計月額4900円で使えるプランを投入した。2015年末にまとまった総務省のタスクフォースの提言を受けた新プランは、本当にユーザーにとって利点があるのだろうか。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 年始早々、ソフトバンクが、総務省「携帯電話料金タスクフォース」の要請を反映した料金プランを発表してきた。1GBまでのデータ通信量で、月額4900円(税抜き)に収まるというものだ。総務省としてはライトユーザー向けに月額5000円以下のプランを求めていたこともあり、ソフトバンクとしては他社に先駆けて、総務省に誠意を見せた格好だ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年1月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。


 しかし、中味を見ると、1GBを月額2900円に設定。総務省を小馬鹿にしている感があって清々しく、好感が持てる。

 1GBが2900円、2GBが月額3500円という値付けを考えると、かなり割高な設定だ。

 もちろん、月額2900円という設定より、スマ放題ライトの月額1700円とインターネット接続基本料300円を組み合わせて、月額4900円で使えるのはリーズナブルだ。ライトユーザーにとっては敷居が大きく下がった感がある。

 また、これまで5GBからしか組み合わせられなかったスマ放題ライトが、1GBでも適用できるのは大きな進展と言える。

 しかし、スマホの利用が1GBに収まれば良いが、データ容量を追加しようものなら、かなり損した気持ちになりそうだ。実際、5GBまで使ったとすると、4000円分が追加となり総額8900円と、従来のプランを大きく上回ることになる。

 後々のことを考えると、「従来プランを契約した方がお得で安心」ということになりかねないだろう。当然、ショップでは「1GBでは足りません。もっと上のプランをオススメします」という売り方がされるはずだ。

 キャリアにとってみると、1GBプランを作ることで、メディアが取り上げ「月額5000円以下でiPhoneが持てる」と報道されれば、それだけで、ガラケーユーザーがショップに殺到する可能性がある。これまで、スマホへの乗り換えを敬遠していたユーザーが月額4900円に騙されて、スマホデビューすれば、ARPUを一気に上げることも可能となる。まさに、総務省のライトユーザー向けプランの要請は、場合によってはキャリアにとって追い風にもなるだろう。

 また、過去にもあったが、ソフトバンクとしては、いち早く発表することで、自社にとって都合の良いプランで、他社に横並びで追随してもらいたいという狙いもあるだろう。

 ソフトバンクにとって、スプリントを建て直す上で、国内事業で収益を落とすわけにはいかない。ただでさえ、解約者が増えている中で、料金施策でミスは犯せないはずだ。ここは何としても、1GBで2900円という流れを作っておきたい。これからNTTドコモとKDDIが、ソフトバンクに同調するかが見所といえそうだ。

 いずれにしても、総務省の要請を受け、キャリアとしては1GBプランを作り、誠意ある対応を見せた。しかし、実態はユーザーを巧みにガラケーからスマホに安価に移行できると思わせながらも、5GBプランを契約させることになる。

 結局、タスクフォースで得をするのはキャリア側ということになり、総務省の意向は、何ら効果がないというのが早くも証明されたと言えそうだ。

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