ソフトバンクの「月額4900円/1GB」プランは“安い”のか
ソフトバンクが4月から、毎月1GBのデータ通信ができる低容量プランを提供する。トータルコストは月額4900円からだが、どれだけお得なのか。既存プラン、Y!mobile、格安SIMと比べてみた。
ソフトバンクが、月額2900円で1GBのデータ通信を利用できる「データ定額パック・小容量(1)(以下、1GBプラン)」を、2016年4月から提供する。「スマ放題」と合わせると月額5900円、「スマ放題ライト」と合わせると月額4900円で利用できる。※本稿の価格はいずれも税別。
今回の新プランは、総務省がタスクフォースで提言した「低容量(1GB以下)のデータ定額プランを作ること」に応える形で新設されたものだが、タスクフォースの発端は、安倍晋三首相が「家計への負担が大きい携帯料金の引き下げ」を指示したこと。この1GBプランは本当に「安い」といえるのだろうか。
2GBプランとの差は「600円」
ソフトバンクのパケット定額サービスでは、1GBの次は月2GBの通信ができる「データ定額パック・小容量(2)(以下、2GBプラン)」を提供している。2GBの料金は月額3500円なので、1GBだと600円安くなる。この600円の差を大きいと取るか小さいと取るかは人によるだろうが、1GBプランの恩恵を受けるのは、「通話をよくするが、データ通信が少ない人」に限られる。
ただし、スマ放題ライトでは2GBプランとは組み合わせられないので、スマ放題+2GBプランの6500円と比べると、スマ放題ライト+1GBプランは1600円安くなる。また、スマ放題ライト+5GBプランの7000円と比べると、スマ放題ライト+1GBプランは2100円安くなる。
小容量(1) | 小容量(2) | 標準(5) | 標準(8) | 大容量(10) | 大容量(15) | 大容量(20) | 大容量(30) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基本データ量 | 1GB | 2GB | 5GB | 8GB | 10GB | 15GB | 20GB | 30GB |
月額使用料 | 2900円 | 3500円 | 5000円 | 6700円 | 8000円 | 1万2500円 | 1万6000円 | 2万2500円 |
スマ放題 | 2700円 | |||||||
S!ベーシックパック | 300円 | |||||||
合計 | 5900円 | 6500円 | 8000円 | 9700円 | 1万1000円 | 1万5500円 | 1万9000円 | 2万5500円 |
小容量(1) | 標準(5) | 標準(8) | 大容量(10) | 大容量(15) | 大容量(20) | 大容量(30) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
基本データ量 | 1GB | 5GB | 8GB | 10GB | 15GB | 20GB | 30GB |
月額使用料 | 2900円 | 5000円 | 6700円 | 8000円 | 1万2500円 | 1万6000円 | 2万2500円 |
スマ放題ライト | 1700円 | ||||||
S!ベーシックパック | 300円 | ||||||
合計 | 4900円 | 7000円 | 8700円 | 1万円 | 1万4500円 | 1万8000円 | 2万4500円 |
1GBプランと組み合わせられるのは、スマ放題とスマ放題ライトのみ。前者は、国内の通話がし放題になり、後者は、国内の5分以内の通話がし放題になる。一方で、月額934円の「ホワイトプラン」とは組み合わせられない。仮に1GBとホワイトプランを組み合わせることができれば、月額料金は4134円まで下げられる。通話もデータ通信もあまりしないという人は、今回の新プランは安いとは感じないかもしれない。
スマートフォンはバックグラウンドでの通信が多いうえ、1日30〜40分の通勤中などで毎日使うと、1GBはあっという間に到達してしまうので、外でスマホを頻繁に使う人には1GBプランは向かない。
Y!mobileの方が安い
ソフトバンクが展開している「Y!mobile」の「スマホプランS」は、月に1GBまでの通信ができ、10分以内の国内通話が月300回まで無料になる。料金は月額2980円なので、ソフトバンクの1GBプランよりも1920円安い。通話回数が月300回を超える人は少ないだろうし、無料になる通話時間はスマ放題ライトの5分より長い。
ただし、ソフトバンクまたはディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクからMNPで転入した場合は、Y!mobileの利用料金には1000円が加算され、スマホプランSは3980円となる。
それでも、依然としてMNO(大手キャリア)の中で最もお得なスマートフォン向けプランは、Y!mobileのスマホプランSといえる。ソフトバンクユーザーがもっとお得にスマホを運用したいのなら、Y!mobileでSIMだけを購入してMNPをするのが得策だ(参照)。しかし残念ながら、ソフトバンクとY!mobileは同じ会社が運営しているブランドなのだが、SIMロックがかかったソフトバンク端末ではY!mobileのSIMは利用できない。これはソフトバンクのiPhoneも例外ではない。
2015年5月29日以降に発売されたソフトバンクの携帯電話は、購入してから180日後にSIMロックを解除できる。例えばiPhone 6s/6s Plusを2015年9月に購入した人は、1GBプランの提供が開始する2016年4月には、SIMロックの解除が可能になる。
注意したいのが、iPhoneの場合、Y!mobileのSIMカードではテザリングが利用できないこと。これは「iOSの仕様が原因」(ソフトバンク広報部)で、ソフトバンクのiPhoneをSIMロック解除した場合でも同様。「ソフトバンクのAndroid端末については、テザリングが利用できることは確認できている」そうだ。
4月の時点でSIMロックを解除できる端末を持っていて、「ソフトバンク固有のサービスが不要」「メールアドレスが変わっても問題ない」「iPhoneでテザリングは不要」といったソフトバンクユーザーは、Y!mobileにMNPした方がお得だ。
格安SIMと比べるとどうか
MVNOが提供している格安SIMと比べるとどうか。例えばIIJ(インターネットイニシアティブ)が提供している「IIJmio」の「ミニマムスタートプラン」では、月額1600円で3GBの通信+音声通話を利用できる。DMM mobileの場合は1GBプランで月額1260円だ。音声通話は20円/30秒の従量課金だが、通話が少ない人にとっては、格安SIMの方がはるかに安い。
従来の“最安プラン”(スマ放題+2GBプラン)と比べて1600円安くなった1GBプランだが、恩恵を受けられるのは、ごく限られたユーザーのみになりそうだ。
ソフトバンク | Y!mobile | DMM mobile | |
---|---|---|---|
プラン | スマ放題ライト | スマホプランS | 通話SIM(1GB) |
基本料金 | 1700円 | 2980円 | 1260円 |
1GBの通信料 | 2900円 | ||
ISP料金 | 300円 | − | − |
通話の特典 | 5分以内の国内通話が無料 (無制限) |
10分以内の国内通話が無料 (月300回まで) |
− |
合計 | 4900円 | 2980円 | 1260円 |
関連記事
- ソフトバンク、1GBのデータ定額プランを4月に提供――トータル月額4900円〜に
ソフトバンクが、月額2900円で1GBのデータ通信を利用できる「データ定額パック・小容量(1)」を、4月以降に提供する。 - ソフトバンク、月1700円の定額通話プラン「スマ放題ライト」発表――auに追従も“最安”で並べず
新規契約者向けにiPhone 6s/6s Plus発売日の9月25日から、既存ユーザー向けには10月5日から提供を開始する。 - ソフトバンク、“完全定額”の新「スマ放題」を月2700円で提供――通信量の翌月繰り越しも
ソフトバンクは、国内通話を定額利用できる新「スマ放題」を発表した。スマホだけでなくケータイ向け料金も用意する。またパケット定額料は8種類で、翌月への繰り越しも可能だ。 - データ通信は1Gバイトから、月額1000円で通話定額――ワイモバイルが新料金プランを発表
ワイモバイルが、Y!mobileスマートフォン向けの新料金プランを発表。データ定額は月1Gバイト、3Gバイト、7Gバイトまで使えるプランを用意し、月額1000円で通話が完全定額となる「スーパーだれとでも定額」も提供する。 - 低容量プラン+実質0円是正で公平性を高める――総務省、携帯料金タスクフォースの第5回会合を開催
安倍内閣総理大臣の発言から始まった、携帯電話料金の値下げに向けた検討。提言をまとめるために設置されたタスクフォースの第5回会合では、提言の取りまとめ案の承認を行った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.