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格安SIMは災害時でも利用できる?MVNOの深イイ話(2/2 ページ)

4月に発生した熊本地震では、多くの方が「MVNOのサービスは災害時でも利用できるのか?」と疑問を持ったようです。大手通信キャリアとMVNOでは事情が異なる部分があります。今回は災害時にMVNOのサービスがどんな影響を受けるのかを解説します。

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その他、MVNOならではの事情

 ここまで通話・通信の混雑に焦点を当てて説明してきました。それ以外でもMVNOならではの事情がありますので、幾つか紹介したいと思います。

 1つ目は、MVNOの設備自体が災害で被害を受けた場合についてです。

 MVNOの設備はデータセンターや局舎と呼ばれる堅固なビルに設置されており、非常用発電機も備えていることが一般的です。ですので、少々の災害では設備が停止することはありません。しかし、非常に大きな規模の災害が起きた場合は、MVNOの設備が機能停止に陥ったり、キャリアとMVNOを結ぶ通信回線が切れたりすることも考えられます。

 まず、音声通話に関してはMVNO側に設備がないため、仮にMVNOの設備が停止していても利用が可能です。SMSについても音声通話と同様、キャリアの設備が稼働していれば送受信に支障はありません。

 一方、データ通信は先にも書いた通り、MVNOの設備を経由していますので、MVNOの設備や接続回線に被害が出ている場合は利用できません。こうした事態を避けるためには、MVNOの設備を地理的に離れた場所に複数設置し、キャリアとの接続も複数の地域で行うという方法があります。IIJmioでは2016年から、設備を東京と大阪に設置しています。また、ドコモとの接続も、東京と大阪のそれぞれで複数の回線を使って接続し、大災害時でもサービスを継続できるように準備をしています。

 2つ目は、電話料金の割引サービスについてです。

 IIJmioの「みおふぉんダイアル」のように、特別な手順で電話をかけることで電話料金の割引を受けることができるサービスを提供しているMVNOが幾つかあります。こうしたサービスでは、以前この連載で紹介した「中継電話」を使っていることが多いのではないかと思われます。

 中継電話を使っている場合、通話はキャリアの設備から電話先に直接接続されるのではなく、いったん中継電話会社の設備を経由します。中継電話会社の設備も災害対策に配慮された場所に設置されていますが、災害で機能が停止したり、混雑が発生したりする可能性がないわけではありません。

 万が一そういった事態が発生した場合は、電話料金割引サービスを利用しないで電話をかけてみてください。割引用のアプリを利用せずスマホの通常の電話アプリで発信する、または電話番号の先頭に付ける「プレフィクス番号」を付けない状態で電話すれば、中継電話会社を介さずに電話をかけることができます。

 また、災害時にスマホ向けに配信される「緊急速報」(緊急地震速報)はMVNOでも利用できます。緊急速報については以前この連載で紹介していますので、そちらの記事もご覧ください。

著者プロフィール

堂前清隆

堂前清隆

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) 広報部 技術広報担当課長

「IIJmioの中の人」の1人として、IIJ公式技術ブログ「てくろぐ」の執筆や、イベント「IIJmio meeting」を開催しています。エンジニアとしてコンテナ型データセンターの開発やケータイサイトのシステム運用、スマホの挙動調査まで、インターネットのさまざまなことを手がけてきました。


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