“画面の中”に指紋センサー 使い勝手はどう?:CES 2018
中国Vivoが発表した「X20Plus UD」には、米Synapticsの画面内指紋センサー「Clear ID」が搭載されている。その使い勝手を実際に試してみた。
既報の通り、中国Vivo(維沃移動通信)は1月24日、中国市場向けスマートフォン「vivo X20Plus UD(屏幕指紋版)」を発表した。ベースモデルの「vivo X20Plus」では本体背面にあった指紋センサーを“画面内”に移設したことが大きな特徴だ。
この指紋センサーは、米Synapticsが2017年12月に量産を開始した「Clear ID」というもの。光学式で、厚さ1.5mmまで(スクリーンプロテクターやカバーガラスを含む)の有機ELディスプレイの下に設置できる。
「画面内に指紋センサー」と言われてもピンと来ない筆者。「CES 2018」のSynapticsブースでX20Plus UDのプロトタイプ(当時は同機種は未発表)で使い勝手を試してきたので、その様子を簡単にまとめる。
指の「置き場」は必要な時に出てくる
プロトタイプの本体には、目に見えるセンサーが見当たらない。「これ、本当に指紋認証できるの……?」と不安になる。
だが大丈夫だ。指紋センサーを使う場面では画面上に「指紋アイコン」が表示される。このアイコンの表示範囲がセンサーの反応範囲となるので、その内側に指を置けば、しっかりと反応(認証)してくれる。
指紋の登録手順は一般的なAndroidスマホと同じ
当然だが、指紋認証を使うには指紋を事前に登録しなければならない。
今回のプロトタイプでは、一般的な指紋認証対応Androidスマートフォンと同じ手順で指紋を登録できた。最大で5つの指紋まで登録できる点など、基本的な仕様はAndroidの標準に準拠している。強いて違う点を挙げるとするならば、タッチするセンサーが「見えない」ことぐらいだろう。
指紋登録は、センサーのある場所を何回かタッチして行う。若干強めに“押し込む”と、スムーズに登録が進むようだ。
押し込みの間隔が短すぎたり、指の同じ場所ばかり押し当てたりすると「もっと指を動かせ」という旨の警告メッセージが出る場合もある。この辺も普通の指紋認証対応スマホと同じだ。
最終段階では指の「グリップ」も登録するように促される。握るようにタッチしても認証できるようにするための配慮だ。
グリップの登録が終わると完了画面に遷移する。OKをタップすれば指紋認証が使えるようになる。
認証方法も一般的なAndroidスマホと同じ スリープ中でもOK
登録後の指紋認証も、一般的な指紋認証対応Androidスマートフォンと同じ感覚で行える。
画面ロックの解除なら、ロック画面上の指紋アイコンに登録した指をタッチするだけ。一瞬でロックが解除できる。登録時とは異なり、指は軽くタッチする程度で大丈夫だ。
プロトタイプはスリープ中の画面表示にも対応していた。指紋センサーはスリープ中も利用可能で、指紋アイコンの範囲内をタッチすればスリープ解除と同時にロック解除できる。この時に、指紋センサーのある場所をタッチすると電気が走るようなアニメーションも表示される。
“見えない”指紋センサーの普及に期待
“見えない”指紋センサーであるClear IDは、プロトタイプでも十分に快適に操作できた。ユーザー視点で強いてデメリットを探すとするならば、触覚でセンサーを探せないことくらいだ。
スマホ視点で見ると、Clear IDは指紋センサーがあることによるデザイン上の制約を排除できる点でメリットは大きい。ただし、構造の都合から液晶ディスプレイと組み合わせて使えないというデメリットがある。
今回試したClear IDは光学式だったが、見えない指紋センサーは他にもある。Qualcommは超音波式の「Sense ID」、ジャパンディスプレイ(JDI)は静電容量式の見えない指紋センサーをそれぞれ開発している。これらは構造上パネルの種類を問わないので、液晶ディスプレイと組み合わせることもできる。
ともあれ、ついに見えない指紋センサーを持つスマホが商品化される。2018年は「“見えない”指紋センサー元年」となるのかもしれない。
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