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ボストンマラソンの舞台裏で活躍するRFID

» 2004年04月19日 11時09分 公開
[IDG Japan]
IDG

 第108回目を迎えるボストンマラソンが4月19日に開催される。この日の気温は約27度に上る見通しで、今年のレースに参加する数千人の走者にとって、例年よりもずっと厳しいコンディションになるかもしれない。しかしレース――そして走者全員――を舞台裏でを支える技術によって、コース沿道の観客は、応援する走者を簡単に追いかけられるだろう。たとえ街中にいなくても、レース状況をオンラインで追うことができ、レース終了後に結果を確認できる。

 今年のボストンマラソンの正式な参加者は全員、小型チップ「ChampionChip」を靴か車いす(大会には車いすの参加者が何十人か参加する)に取り付ける。このチップはスタート地点を含め、走者がレース中に各地点を通過するたびにタイムを計測する。ただしスタート地点には大量の走者が集まるため、一部走者の間で数分以上の差が開いてしまう可能性がある。走者がコースに設置されたマットを通過するたびに、タイムが記録される。

 このチップは「Athlete Alert」プログラムを介して、走者のタイムを家族や友人に送信する。またこの技術は、1980年にロジー・ルイズ選手が起こしたような事件を防ぐ役にも立つ。ルイズ選手はこのとき1位でゴールしたが、後になって全コースを走っておらず、最後の約800メートルを走っただけだったと分かった。ChampionChipは、走者がコース中に設けられたすべてのチェックポイントを通過したかのチェックも行う。

携帯に最新情報を配信

 ChampionChipにはRFID(無線ICタグ)が組み込まれ、チェックポイント通過時の走者のタイムをBoston Athletic Associationとその技術パートナーであるHewlett-Packard(HP)、Verizon Wirelessが運営するデータベースに送る。

 各走者は6人までの友人と家族をAthlete Alertプログラムに登録でき、登録者の元には自動的に走者の最新情報が電子メールで送られる。このシステムはテキストメッセージ対応電話に送信できるので、沿道の観客は、いつ走者が通過するのかを知ることができる。

 Verizon Wirelessは先月、レースコースでテストを行い、サービス障害を起こさずに観客がテキストメッセージを受信できるのを確認した。

 Verizon Wirelessの広報担当者ウェンディ・ブラワ氏は「テレビで『もしもし聞こえますか?』と話し掛けている人を目にするが、われわれが実際にやっているのはそれだ。マラソンコースを運転し、携帯の通話圏内に入っているかをテストして、シームレスにつながることを確認した」と話す。

 応援する走者がAthlete Alertsに登録してくれなかった場合でも、bostonmarathon.comのWebサイトを使って観戦できる。オンラインから状況を追跡するためには、走者のゼッケン番号を知っておく必要がある。

HPが質問に対応

 またHPは、iPAQを持たせたボランティア75人をコース付近に配置。ボランティアは観客から質問を受けたら、iPAQでbostonmarathon.comと同じ走者情報にアクセスして回答する。ここでも走者のゼッケン番号を知っておく必要がある。

 また昨年に引き続き、NewburyOpen.netは無料Wi-Fiネットワークをゴール地点付近にまで拡張する。同社はBuellのバイク、LEXUS、日産エクステラの3台の車両にアンテナを装備して、ニューベリー・ストリート地区の観客に無線インターネット接続を提供する。これらの車両はコースにできるだけ近いところに駐車され、45メートルの範囲内にいるユーザーはWi-Fi接続を無料で利用できるはずだと、NewburyOpen.netを運営するTech SuperPowersの社長兼創設者マイケル・オー氏は説明する。

 ボストンマラソン2004はマサチューセッツ州ホプキントンから始まり、車いす部門は現地時間で午前11時25分、女子エリートクラスは11時31分、男子エリートクラスと残りのランナーは正午にスタートする。

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