ニュース
» 2004年04月22日 22時09分 UPDATE

“シームレスコンピューティング”で人と人をつなぐ――MS古川氏

「MSは一貫して市場のオープン化を進めてきた」という古川NTO。各技術の相互運用性を高め、標準化を進めることで、PCを意識せずに目的の作業を終えられる“シームレスコンピューティング”を目指す。

[岡田有花,ITmedia]

 「私がマイクロソフト辞めちゃったと思っている人が多いみたいだけど、あと10年はやりますよ」――マイクロソフトの古川享執行役最高技術責任者(NTO:National Technology Officer)は4月22日、都内で開かれた説明会でこう“古川節”の口火を切った。

photo 古川享執行役最高技術責任者

 2000年から米Microsoftのバイスプレジデントを務めていた古川氏だが、今年2月からは日本のマイクロソフトのNTOも兼務。定年までの残り10年で「PCを通じて、人と人が喜びや悲しみを共有できるようにしたい」という。

 ユーザーインタフェースや相互接続性をさらに発展させることで、ハードやソフトの規格や種類を意識せず、PCの存在すら気づかないうちに目的の作業を終えられる「シームレスコンピューティング」を目指す。これによりPCは初めて、「人と人との間に立つメディア」としての役割を果たせるようになるという。

 例えば、デジタルカメラで撮った写真をみんなで楽しむといった場合、デジカメの機種や画像のファイル形式、メモリカード、インタフェースの規格などに関わらず印刷までシームレスに行えれば、余計なことに気をとられることなく、撮った写真を皆で見ながら、喜びや悲しみをじっくりと共有できる。こういった環境をあらゆる場面で確立するのが古川NTOの目指すものだ。

 これを実現するために古川NTOが同社社内に設置したのが技術企画室。ハードやソフトの相互運用性の高めることを目指した活動を行うほか、同社の技術の知的財産権を管理、企業とクロスライセンス契約を結んだり、各業界との連携を深める。

「MSは一貫して市場のオープン化を進めてきた」

 「マイクロソフトは、CD-ROMをWindowsとMac間で相互運用できるようISO 9660規格を推進するなど、各技術の相互運用や標準化を目指し、市場をオープンにしようと奮闘してきた。ただ最近はそういった姿勢が薄らいで見えているので、原点に戻る必要がある」(古川NTO)

 古川NTOによると、同社の従来からのスタンスだったという“オープン化を目指す姿勢”は消えておらず、新技術はその都度開示しているという。例えばXMLやUniversal Plug and Play(UPnP)に関する技術は標準化団体に開示しており、「UPnPの標準化に関しては、デジタル家電との連携が必要なため、日本に丸投げされている。次の標準化は日本からやることになるだろう」(古川NTO)。

 米Microsoftが、提起された訴訟を相次いで和解に持ち込んでいることも、この姿勢と無縁ではない。「和解により、各技術の相互運用への突破口ができた」(古川NTO)。

 古川NTOはまた、乗用車を例にして各業界の連携の必要性を訴える。「最先端の乗用車には、80ものCPUが搭載されている。このうちMSが関わっているCPUはカーナビゲーションシステムの1つだけ。カーナビのCPUが残り79のCPUとも連携できれば、例えば、車が故障したときにその情報がカーナビに伝達され、どこにいけば修理できるかわかるシステムなども作れるだろう」(古川NTO)。

デジタル家電があるからといってPCを排除すべきではない

 デジタル家電の台頭で、PCの存在感が薄らいでいることに関しては、「特定のハードを排除するのは本当のユビキタスではない」とし、今後もPCは重要な役割を担うとの見方を示した。

 特定の技術を市場から排除することには否定的な古川NTOだが、EUの独占禁止当局が、WindowsにMedia Playerを抱き合わせて販売し、他社のプレーヤーソフトの普及を阻止したとして、Media Playerなしのバージョンの販売を命じことには批判的だ。

 「国産の乗用車を欧州に出荷するとき、タイヤをつけないとか、タイヤメーカーの選択肢を複数用意することがないように、最初から組み入れておいたほうがユーザーの利便性に合う機能は存在する。どれがその機能にあたるかという切り分けは、ユーザーやメディアに判断してほしい」(古川NTO)。

社会貢献の方法を模索、社員に活躍の場を

 古川NTOはまた、同社が社会にどう貢献できるか考え、そのビジョンを外部に発信する役割を担うという。同社の顧客企業だけではなく政府、自治体、教育機関との連携も強化する方針だ。

 加えて「能力がありながら社内でくすぶっている社員が、活躍できる舞台を用意する」(古川NTO)。マイクロソフト社内で、部署を超えた社員同士の接着剤的な役割を担うつもりだ。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

マーケット解説

- PR -