LongRun2に望みをかけるTransmeta
IntelとAMDが省電力モバイルプロセッサの投入を続ける一方で、Transmetaは今後事業のフォーカスをプロセッサの提供から自社技術のライセンシングへと移行せざるを得ない見通しに直面している。
AMDが先週、コードネームで「Oakville」と呼ばれる90ナノメートル版のMobile Athlon 64プロセッサの出荷をPCメーカー向けに開始したことも、Transmetaにとってはさらなるプレッシャーの要因だ。同プロセッサを搭載するシステムは向こう数カ月以内に登場する見通し。
Transmetaは創業4年になるが、その間に5億9100万ドルの損失を計上し、一方ではライバルのIntelが業界全体の省電力モバイルプロセッサへの流れに乗って利益を享受するのを目の当たりにしてきた。実際、Transmetaは8月に入り、向こう数四半期の間に現金調達の必要が生じ、信用貸しをめぐり問題に直面した場合には、始めたばかりのライセンシング事業に集中すべく、プロセッサ事業の規模を縮小しなければならなくなる可能性を示唆している。
同社の初代プロセッサ「Crusoe」の最大のメリットであると同時に最大の問題となっているのは、コードモーフィングソフトだ。Transmetaは128ビットのVLIW(Very Long Instruction Word)アーキテクチャを使ってCrusoeを開発したが、このアーキテクチャはIntelやAMDのプロセッサ、あるいは世界の大半のPCソフトが使用しているx86アーキテクチャとは互換性がないものだった。そのため、Transmetaのハード向けにx86命令を翻訳するソフトが使われた。
こうしたソフトによるアプローチにより、Crusoeでは大半のx86プロセッサよりもトランジスタの数が少なく抑えられ、その結果、プロセッサの消費電力を抑えることができた。だがPCベンダーが求めたのは、より汎用的な性能だった。ソフトでは、うまく設計されたトランジスタ集合体の本来の性能を再現できないからだ。
Crusoeに対する初期の評価は厳しいものだった。またPCベンダーは、Transmetaが2001年に180ナノメートルプロセス技術から130ナノメートルプロセス技術への移行を図った際の製造の遅れにも落胆させられた。Transmetaは自社設計の製造をサードパーティの製造工場に委ねている。
「製品を1つしか扱わない企業の場合、100%の時間フル稼働するのは難しい」とMicroprocessor Reportの編集者ケビン・クレウェル氏は語っている。
IntelはTransmetaのCrusoeに対抗し、2000年に省電力版のPentium IIIをリリースした。だがその後2003年には、省電力の点でIntelのPentium MプロセッサがTransmetaのプロセッサを上回った。
アナリストによれば、Transmetaにとって最大の希望は、Crusoeプロセッサの改訂版となるEfficeonプロセッサだという。EfficeonではCrusoeの性能問題の多くが解消される。EfficeonはCrusoeよりも高速で、256ビットのVLIWアーキテクチャを採用し、LongRunの新版により性能強化と消費電力の削減が図られる。
「市場でTransmetaがどれだけ健闘できるかは、90ナノメートルへの移行の成功いかんにかかっている」とMercury Researchの主任アナリスト、ディーン・マキャロン氏は指摘している。
Transmetaはパートナーの支持を取り付けている。例えば、NECエレクトロニクスはTransmetaのLongRun2のライセンスを取得している(3月25日の記事参照)。Transmetaのマーケティング担当上級副社長アーサー・スウィフト氏によれば、同社は自社の知的財産を利用するライセンシー企業を拡大することで自社技術を利益につなげたい考えという。
EfficeonプロセッサはLongRun2により、アプリケーションの作業負荷に合わせて、クロック速度と作動電圧を毎秒数百回、調整できる。必要に応じて電力をあてがうというこのアプローチは、初代のCrusoeプロセッサ以来、Transmeta製品の最大の特徴だ。同社はLongRun2が自社のプロセッサを改良するだけでなく、サードパーティのプロセッサメーカーの注目を集めることに期待している。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
防衛省の「クーラー300台」投稿動画でビックカメラのトラックが注目を集める 同社「販売用の在庫を迅速に提供」
-
2
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
3
セブン&アイ、共通会員IDのPayPay統合を正式発表 ソフトバンクや三井住友カードなどが計3000億円出資
-
4
一般消費者が「空調服」と書いたら商標権侵害? 公式Xの注意喚起が波紋、弁理士の見解は
-
5
ソニー、タムロン買収提案の狙いを説明 「イメージング事業の発展につながる」
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
「文スト」スマホゲーム、きょう告知→あす終了 突然のサ終にユーザー混乱 運営元の廃業で
-
8
タカラトミー、デュエマアプリで個人情報漏えいか 最大15万5000人分 氏名や住所など閲覧の恐れ
-
9
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
10
ソニーの熊本工場、8月中旬には「地震前の稼働水準」に 早期復旧の理由を決算会見で明かす
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR