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米大統領戦で問われる電子投票マシンの実力

» 2004年11月02日 08時59分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米国で11月2日に行われる総選挙は、大統領候補のみならず、電子投票マシンが試される場でもある。

 米27州とコロンビア特別区の投票者のうち、推定30%がこの選挙で電子投票マシンを利用する。部分的にでも電子投票マシンを利用する州を見ると、オハイオ、ペンシルベニア、フロリダの3州に加え、アイオワ、コロラド、ネバダ、ニューメキシコと、大統領選の結果を左右する重要な州が名を連ねている。

 ほとんどの世論調査でブッシュ大統領とケリー上院議員の接戦が予想される中、この選挙では投票技術の問題が大きな役割を演じかねない。民主党、共和党の両陣営とも何千人もの弁護士を待機させ、投票に関して論議が生じればすぐにも出陣させる構えだ。電子投票マシンが引き起こしかねない問題が原因で、大統領選の勝敗が判明するまでに数日かかる可能性もあるとする専門家の見方に、Verified Voting Foundationのエグゼクティブディレクター、ウィル・ドハティ氏も同調する。

 Verified Voting Foundationなど電子投票マシン(DRE=direct electronic recording machines)に批判的な団体は、このマシンで行われた投票はチェックし直す手段がないと指摘している。DREではマシンの内部で何が起きているかを投票者が知ることはできず、大半の州では紙の記録を2日中に用意することもできないため、独立した再集計を行うこともできないとの批判が出ている。

 全50州で開票が行われるのは2日だが、複数の州では事前投票も認められている。Verified Voting FoundationとComputer Professionals for Social Responsibilityが運営するElection Incident Reporting Systemによれば、既に16州で投票技術の問題が報告されているという。電子投票問題を報告しているボランティからは、これまでに96件の事例が寄せられており、同サイトによればこのうち44件はフロリダ州で、20件はテキサス州で発生。それ以外の州では5件以上の電子投票問題は報告されていない。

 フロリダ州ではこれまでに、投票マシンがクラッシュして長蛇の列ができたり、ケリー候補に投票したのにマシンの確認手続きではブッシュ大統領に投票したと表示された――などの問題が報告されている。この確認手続きは、投票者が間違いを正すためのもの。ドハティ氏によれば、Verified Voting Foundationではボランティア300人以上を動員して電子投票の問題がないかどうか、投票の監視に当たらせる予定だ。

 一方、電子投票マシンのベンダーも加盟しているInformation Technology Association of America (ITAA)では、事前投票での電子投票は「成功」だったとの見方を示している。

 事前投票で生じた問題の大半は電子投票マシンが引き起こしたものではないと、ITAA上級バイスプレジデントのボブ・コヘン氏は力説。「これまでに見られた問題は、どちらかというと有権者登録に関するものであり、投票に来たのに自分の名前が登録されていないといった問題だ。われわれに言わせれば(電子投票マシンは)非常に正確だ」と話す。

 フロリダでは事前投票の最初の数日で、登録有権者の記録を保存したコンピュータがクラッシュした問題もいくつか報告されているが、これは電子投票マシンの問題ではないとコヘン氏は言い添えた。「投票マシンのせいではない。コンピュータはクラッシュするものだ」

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