コラム
» 2004年11月04日 10時52分 UPDATE

まだあった、電子投票のダメなところ

電子投票の問題は、精度とセキュリティだけではない。11月2日の大統領選、人々は投票のために3〜4時間行列することになった。どんなに投票所が混んでいても、存在しない投票機を追加することはできないのだ。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 11月2日、物議を醸した電子投票機は米国民の投票を正確に記録したのだろうか? それは決して分からないだろう。紙の監査証跡がないため、精度を検証するために引き合わせて確認するものがないのだ。

 ベンダーにとっては、利用者が納得できれば素晴らしい成果というわけだ。利用者が望んだ結果を出せたか確認する方法のないシステムを導入するのだから。だが我が国の民主主義にとっては、これは受け入れられない。

 またしても私たちは、国内の意見が極端に分かれ、最後まで結果が分からない状態で大統領選挙を終え、決め手となる州(今回はフロリダではなくオハイオ)は緊張状態にあった。不吉なことに既にインターネットでは、不満を持つ民主党員が、オハイオ州とフロリダ州で出口調査と報告された集計結果が大きく異なっていると話している。

 出口調査と最終的に報告された集計結果の相違は、2000年大統領選時にフロリダ州であったような問題が起きるという早期警報だ。4年前にフロリダ州で完全な再集計が行われていたら結果はどうなっていたのかはともかく、出口調査との相違は、確かにパームビーチ郡の一部有権者がアル・ゴア候補に投票したと考えていた(そして出口調査員にそう語った)のに、実際には紛らわしい「チョウ型投票用紙」のせいでパット・ブキャナン候補に投票されていたという事実を物語っている。

 こうした過去の経緯により、今年フロリダ・オハイオ両州で出口調査と投票結果に食い違いが生じたのには、出口調査方法の誤りにとどまらない何かがあるのかもしれないという疑念が増幅している。

 皆さんがどちらの候補を望んでいようと、有権者が投票システムへの信頼を失うのは国にとって良くないことだ。民主主義が有効に機能するのは、すべての陣営(特に敗北した側)が、投票が正確に集計されると信じるときだけだ。投票を確認できないということは、次回接戦になった場合に有害だと判明する可能性がある。

 精度とセキュリティを別にしても、2004年大統領選では電子投票システムのもう1つの欠陥にスポットが当てられた。それは、拡張性がないということだ。

 今年は投票者が多いと各所で報じられていたにもかかわらず、多くの投票所が投票者であふれかえり、投票するまでに3〜4時間、あるいはそれ以上待たされる人もいた。5分で終わる投票のために、人々が平日の半分を行列に並んで過ごしたことを理解してほしい。何ともばかげたことだ。

 できるだけ投票を不便にして、意図的に有権者に投票する気をなくさせようとしたと考えなければ、問題はリソース不足だ。少なくとも判事の1人は、「電子投票機のある投票所では職員が代わりの投票用紙を提供するように」と命令して、行列に対処しようとしたが、州の職員はこれを批判した。あるオハイオ州の職員はいら立ちを見せながら、電子投票システムはパンとは違って、店に行けば別のものを買えるわけではないと語った。

 だが理論的には、電子投票システムはWebサーバのようなものだ。ピーク需要に合わせて十分なWebサーバを購入すれば、幾つかを予備にしておいて、ピーク時に必要に応じてオンラインに接続できる。だが実際は財政が厳しい州政府や地方自治体は、ピーク時に合わせたシステムに金を出さないだろう。

 ピーク時に適切に機能できないシステムに票を委ねるのは許し難いことだ。ここで話しているのは休日にオンラインショッピングサイトでいらいらしているせっかちな買い物客のことではない。我らが民主主義の基盤のことを言っているのだ。

 無論、レバーの付いた機械式投票機にも同じ拡張性の問題があるが、光学スキャナで読み取る投票用紙にはそうした問題はない。

 マサチューセッツ州は2日、過去最高の投票率を記録した。私の住む選挙区では投票者が非常に多かった。だが最寄りの投票所では、投票者の行列よりも駐車場の混雑の方がひどかった。ここでは投票用紙を使い、投票所に入ってから出てくるまでに10分もかからなかった。投票者が多かったため、投票終了後の集計にはもっと時間がかかるだろうが、有権者は迅速に、簡単に、面倒もなく投票権を行使できた。

 投票用紙を使った投票所が投票者でいっぱいになったとしても、職員はボランティアの援助を求めて机を追加し、並んでいる人々に用紙を配ることができる。存在しない投票機(機械式でも電子投票機でも)を追加するのははるかに難しいことだ。そして紙の投票用紙があれば、誰かが選挙結果に疑問を抱いても簡単に再集計ができる。

 時にはシンプルな方がいいこともある。特に、それがうまく機能すると証明できる場合には。

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