Windows Media Playerよりも恐れるべきは……?
たくさんの専門家がWindowsがデスクトップにもたらした無数の問題――そして多くの場合は未だ解決されずにいる――を取り上げているが、それに対して欧州連合(EU)が与えられる最大の罰が、Microsoftに「Edition N」(Nは“Not with WMP(Windows Media Player)”のN?)を出荷させることなのだろうか? 人間性に対する私の信頼が、また1つ失われた。
もしあなたが、仕事中に何かを楽しむなんて断じて許されないと考える無慈悲なシステム管理者だったら、もうとっくにWMP抜きのデスクトップイメージを設定するか、ディレクトリレベルでユーザーアクセスを拒否することで自社製のEdition Nを構築していることだろう。あなたのようなグレイのスーツに身を固めた強硬派のおかげで、Edition Nは単に便利だからという理由で実際いくつかのライセンス契約を獲得するかもしれない。
だがEUにとって、これまでの数カ月に及ぶMicrosoftに対する「調査」の結果が、単なる「Windows Media Playerの排除」命令に終わったことは、まあお粗末としか言いようがない。それがWindowsに適用されるなら、LinuxやMac OS Xにはなぜ適用されないのか? OS Xはあまりいじったことはないが、これまでに使ったXandros、SUSE 9.1、Slackware、Novell Linux DesktopなどのLinuxディストリビューションはすべて、OSにメディアプレーヤーが常駐している。私の知る唯一の違いは、WMP 10ではMicrosoftの音楽ショッピングサイトに自動アクセスができるという点だ。「Buy Music」をクリックすれば、Webにアクセスし、音楽タイトルを見ることができる。
私がIT管理者ならこれはいらつくことだろうが、しかしデスクトップからの遮断は十分に簡単だ。正直言って、MicrosoftがOSレベルで犯した「微罪」リストを作るとしたら、WMPのバンドルはリストに載せさえしないだろう――おそらく欧州の人たちの考えとは違うだろうが。
このリストに挙げるべきは、ほかの自社製品に注意をそらそうとするMicrosoftの執拗な試みだ。おそらく今はWMPがそれに当てはまる。だが、いずれにせよ問題としてはかなり軽い。私がもっと心配しているのは、PassportとMSNの関係といった危険な問題だ。WMPバンドル解除の問題は忘れて、OSレベルに潜む――あるいはOSレベルで拒否されてもOfficeのインストールの際に再び侵入しようとしてくる――このユビキタス技術をMSNから取り除くことを考えてみよう。ユーザーがPassportにアクセスしたら、あなたは「このPassportって何ですか?」という問い合わせに対処することになるのだから。
どうやらMicrosoftは、ここに来てPassportをLonghornに忍び込ませようとしている。この次期Windowsには、同社が「個人データの保管所」と呼ぶ技術が各システムにインストールされ、社会保障番号、クレジットカード番号、パスワードなどの最も個人的な情報すべてを「セキュアに保管」するという(3月29日の記事参照)。
思った通り、この「機能」はLonghornにネイティブに搭載される。だが当のMicrosoftはこの機能を「Infocards」と呼び、サービスとして管理されると主張している。Passportとまったく一緒に聞こえるが、なぜ名称を変更したのか? もしかして、Passportが簡単に破られ、ユーザーがこのブランドを信用しなくなったからなのだろうか?
仮にInfocardsがまったく新しい、そして完全にセキュアなコードベースを採用しているとしても、「WMPの自動ショッピングアクセスとどう違うのか?」と私は問いたい。この機能は存在するが、ユーザーが使いたくなければ使う必要はない。もちろん、WMPとPassport/Infocardsにはライバルがいて、その多くはWindows XP上で十分機能する。優れた製品を持っていないベンダーが「Microsoftによる何らかの陰謀だ」と訴えることはもはやできなくなった。ならば何が問題なのか?
問題は、実質的なアンチマーケティング運動に基づく政府の干渉だ。Microsoftは過去に悪質な商行為に及んだことがある。同社から電話がかかってきたら、政府機関はおそらく虎を家に入れないように気をつけるべきだろう。だが真に優先すべきがMicrosoftの不公正な商行為を食い止めることなら、セキュアなコーディングの実行、公正なライセンススキームなど直接的な問題に取り組むべきではないのか? 何カ月もの調査と訴訟を経た末に、「Windows Media Playerの切り離し」とは時間の無駄でしかない。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「侵入経路塞いだが、バックドアから……」不正アクセス105時間の攻防、分単位で報告 防災メールのアルカディア
-
2
NECの委託先にサイバー攻撃 正規アカウント悪用し顧客のサーバ暗号化、個人情報の漏えいも
-
3
ソースネクスト、パスワードなぜ平文で流出 「暗号化していたが、鍵にアクセスできるシステムに侵入された」
-
4
スクエニアカウントに不正ログイン、他社で流出の情報使用か 全アカウントのパスワード強制リセットも視野に
-
5
ふるさと納税の「ふるさとチョイス」、会員情報445万件流出 寄附控除試算額も
-
6
メドレー、不正アクセスで停止中のサービスを作り直して再開へ 従来システムは再稼働させず
-
7
デジタル庁、政府職員18万人にAIエージェント環境を展開──「源内」で提供開始、独自の安全基準も
-
8
阪急阪神百貨店などの共通ID、ほぼ全会員分漏えい 約126万件 予約サイトに不正アクセス
-
9
栃木県警、全職員の情報流出か アルカディア不正アクセス、他県警でも被害判明相次ぐ 報道
-
10
日本企業狙う不正アクセスにAI 攻撃者が自律型侵入テスト「ARTEX」を悪用 GMOイエラエ調査
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR