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» 2005年10月13日 19時29分 UPDATE

楽天、TBS筆頭株主に 経営統合を提案 

楽天がTBS株式の15.5%を取得して筆頭株主に。共同持株会社方式による経営統合を提案した。テレビの影響力とネットの将来性、ECの収益性を融合させ、海外の巨大企業に対抗できるメディア企業グループを目指すという。

[小林伸也,ITmedia]

 楽天は10月13日、東京放送(TBS)に対し共同持株会社方式による経営統合を申し入れたと発表した。楽天はTBS株式を大量取得し、同社筆頭株主に浮上。13日夕、都内で会見した楽天の三木谷浩史会長兼社長は「収益力の高い電子商取引に強みを持つ楽天と、テレビ・ラジオで影響力の強いTBSが力を合わせ、海外でも通用するメディア企業を目指す」とねらいを語った。

photo 都内で会見した三木谷社長(左)と国重副社長

 楽天は13日までに、子会社を通じてTBSの15.46%に当たる2938万株を約880億円で取得し、TBSの筆頭株主になった。取得は複数回、市場内で行ったという。今後の買い増しや公開買い付け(TOB)の計画は「未定。市場への影響もあるのでコメントできない」(国重惇史副社長)とした。

 TBSには100ページ弱の提案書を提出。この日、三木谷社長はTBSトップと約20分にわたって会談し、経営統合案について説明した。TBS側は「検討する」と答えたという。

 経営統合スキームは、両社で共同持株会社を設立し、その子会社の事業会社として楽天とTBSが傘下に入る形。持株会社方式を選んだのは、傘下企業の経営の迅速化に加え、放送の公平・中立性を確保する目的もあるとした。TBSの名称はそのまま残し、現経営陣も引き続き経営を続けてほしいとした。

国際メディア企業に対抗できるグループ構築を目指す

photo 統合イメージ

 統合後の楽天・TBSグループが目指すのは「海外勢に対抗でき、海外でも通用するメディア複合企業」だ。三木谷社長は会見で、米Time Warnerや米Disneyなどの巨大企業を挙げながら構想を説明した。

 三木谷社長によると、テレビ・ラジオの影響力は「インターネットとは比較にならないほど大きい」が、普及が進むデジタルレコーダーユーザーの約8割がCMをスキップするというデータもあり、テレビCMの将来性とテレビ各局の今後の収益性は不安視されてもいる。一方、楽天などが展開する電子商取引(EC)は収益性が高いが、テレビと比べて影響力は小さい。

 このためテレビ局とネット企業が手を組めば、お互いの弱みを補い合い、ビジネスを拡大できるチャンスになるという読みだ。例えばテレビ番組から広告サイトに誘導したり、TBSコンテンツのブロードバンド配信や各種イベントのチケットをネット販売する──など「テレビとネットの組み合わせは、いいコンビネーションになる」(三木谷社長)とみる。

 ネット連動広告でTBSの媒体価値も高まる上、TBSが計画している有料ブロードバンド配信では、楽天傘下のショウタイムのインフラや顧客基盤を活用することで利用拡大を図れるといった相乗効果が見込めると期待する。

 TBSのステークホルダー(利害関係者)にとっても経営統合は好都合だと説く。著作権者はコンテンツの供給先が拡大でき、視聴者は楽しみ方が広がり、広告主は効果が上がり、株主は企業価値の向上で株価上昇を期待でき、社員はストックオプションなどのインセンティブ付与で士気が上がる──という説明だ。

 楽天にとっても、民放キー局を味方に得るメリットは大きい。三木谷社長は「TBSの圧倒的なパワーでネットビジネスを強化できる。「今はヤフーに後れを取っているが、ナンバー1ポータルへの布石になる」と期待する。

株式取得は「真剣に考えていることを証明するため」

photo なぜTBSか?

 三木谷社長は、提携先としてTBSを選んだ理由を「技術力、コンテンツ制作力が高い。ネットと親和性の高い報道分野も強い」と説明した。だが、今年2月以降にニッポン放送をめぐってライブドアとフジテレビジョンが対立した際、楽天がフジテレビ側のホワイトナイトとして浮上した経緯もある。

 三木谷社長によると、テレビ局と経営統合するアイデア自体は「去年の8月ごろ」に思いついたという。これまで楽天はTBS側と業務提携について提案したきたが、「ホップステップジャンプするには資本提携が必要と判断した。真剣に考えていることを証明したい」(三木谷社長)として株式取得に踏み切った。

 ただTBSは「業務提携について協議を続けてきた中、事前連絡もなく短期間で大量に株式を取得され、唐突な印象」と反発気味。「株式市場の絡みもあり、事前に言うわけにはいかない」(国重副社長)と話すが、「他人の家に土足で踏み込んで提携を迫った」と批判も受けたライブドアと同じ図式では、という指摘もある。

 三木谷社長はライブドアについては「他社に関してはコメントできない」とかわし続けた。

 会見での主なやり取りは以下の通り。

──持株会社の目的は。具体的な出資比率などの詳細は。

国重副社長 TBSと楽天が持つ異なるカルチャーをそれぞれ生かせる上、TBSの報道の独立性を担保するためだ。持株会社の詳細はこれから相談させていただく。

──TBS側の反応は。

三木谷社長 株式を取得したことには少し驚かれた。説明は真摯(しんし)にお聞きくださった。いい返事を願っている。

国重副社長 TBS側は「検討します」ということだった。両社トップがいる場での発言なので、信頼したい。

──三木谷社長はTBS側にかなり気を遣っているように見えるが。

三木谷社長 そりゃ気を遣ってます。先方もびっくりしているでしょうから、気を遣ってます。

──報道の中立性は保てるのか。楽天が不祥事を起こした場合、TBSは報道できるか。放送の公共性についての考えは。

三木谷社長 楽天に不祥事があれば当然しっかり報じるべき。周波数を使っている以上、公共性は重要。いいコンテンツを放送していくことが公共性だと思っている。

──村上ファンドの保有株式を買収する予定はあるか。今後連携する予定は。

国重副社長 村上ファンドの保有分についてはわれわれは把握していない。ファンドは投資で利益を上げるのが目的だが、われわれはファンドではなく、事業を展開してビジネスを拡大するのが目的。基本的な考え方がまったく違う。

──ライブドアもそう言っていたが、テレビと組んでヤフーを超えたいという。ヤフーを超えるにはテレビと組むしか方法がないのか。

三木谷社長 これ以外の方法がないのかといったら、そんなことはないと思う。だがテレビとの提携は有力な方策。海外勢に対抗でき、海外で通用するメディアグループになるのがねらいだ。

──野球協約上の問題は。楽天は楽天イーグルス、TBSは横浜ベイスターズの親会社だが。

三木谷社長 一般論としては、1つの企業が複数の球団のオーナーになるのはふさわしくない。オーナー会議などで相談していきたい。

──TBSで好きな番組は。

三木谷社長 意外にテレビは見るんですが……特定の番組について言うと問題があるかもしれないので、控えたい。

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