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「どうしていけないのか」──楽天、TBS株19%超に買い増し

» 2005年10月26日 19時57分 公開
[ITmedia]

 東京放送(TBS)との経営統合を提案している楽天は10月26日、TBS株式を買い増し、保有比率が19.09%になったと発表した。同日会見した楽天の三木谷浩史社長は「どうして買ってはいけないのか分からない」と市場ルールにのっとった行為だとし、「15%よりは19%のほうが成功の可能性が高くなる」と理由を説明した。買い増しはしないよう要請してきたTBSの反発は避けられず、両社の全面対決になる可能性が高まった。

photo TBS株買い増しを説明する三木谷社長=26日、都内

 楽天は今月12日までにTBSの15.46%に当たる約2938万株を約880億円で取得。さらに約230億円をかけて約3627万株まで買い増した。

 楽天のTBS株式保有が明らかになった際、TBS側は買い増しはしないよう同社に要請していた。楽天の行動はこれを無視した形だが、「TBSの要請に対して『お約束できません』とは言っていた」(国重惇史副社長)。

 三木谷社長は「経営統合を成就するためには双方の株主の賛成がいる。株主の中には反対する人もいる。われわれは賛成側なので、15%より19%のほうが可能性が高くなる」と買い増した理由を説明。「市場性のあるものをどうして買ってはいけないのか、正直言って分からない」とも話し、「TBS株は価値があるので、市場のルールにのっとって買い増した」というスタンスを強調した。

 今後の買い増しの可能性については「マーケットが絡むことについてはコメントしない」(国重副社長)とした。

 TBSは6月、買収防衛策として日興プリンシパル・インベストメンツに対し最大800億円規模の新株予約権を発行。買収者が現れ、20%超のTBS株式を取得した場合に発動できる。楽天の保有比率は、この“防衛ライン”に近付く。

 三木谷社長は、TBSが買収防衛策を発動させる対象としている「濫用的買収」には楽天は当たらないとし、経営統合による企業価値向上を提案している以上、単なる利ざや稼ぎなどとは異なり「敵対的買収」でもないとした。一方、TBSが安定株主形成に動いているとの報道に対しては「株主利益が確保されるのかが重要だ」とけん制した。

 経営統合案については、「テレビがネットにつながり、ネットがテレビにつながる時代がすぐそこに来ている。テレビとネットが組むことで、目の前の好機をとらえたい」という従来の説明を繰り返した。

 単なる業務提携より踏み込むのは「経営統合しないと成功しないというわけではないが、利害を一致させたほうが成功の可能性が高まる」ためだとし、「大きく変わるべき時に、自分の中から変わっていくのは結構難しいのではないかと思う」とTBSにとってもメリットが大きいことを強調した。

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