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MSとTelecom-ISACの取り組みで20万超の「Antinny」駆除、それでもなお脅威は残る

» 2005年11月21日 22時30分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトとTelecom-ISAC Japanは10月12日より、P2Pファイル共有ネットワークの「Winny」経由で感染するウイルス「Antinny」ワームへの対策を開始した。その結果、約1カ月間で11万台のPCから20万を超えるワームが駆除できたという。だが一方で、Antinnyに感染したままのPCも今なお数多く残っているのも現実だ。

 Antinnyは、Winny経由で感染を広めるウイルスだ。感染すると、手元のPCに保存されているファイルやデスクトップの画像をWinny経由で流出させ、情報漏えいにつながるおそれがあるほか、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)のWebサイトにDoS攻撃を仕掛ける。

 このAntinnyが吐き出すトラフィックが、国内ネットワークのバックボーンに多大な影響を与えてきたことから、Telecom-ISACではさまざまな側面から対策を講じてきた。10月より、マイクロソフトがWindows Updateを通じて無償で提供している「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」の削除対象にAntinnyが加わったのも、そうした取り組みの一環だという。

 マイクロソフトによるとこの結果、11万台のPCから20万を超えるAntinnyワームが駆除された。これは、同ツールが1カ月の間に削除したウイルス/ワームの中で2番目に多い数だった。特にツール提供開始直後の数日間を見ると、1時間当たり300台のPCからAntinnyワームを駆除するペースだったという。

 またTelecom-ISACの計測によると、ACCSへの攻撃はIPアドレスベースで39.8%、トラフィック量で33.4%減少したという。

 両社はこの結果を相互協力の成果としてとらえる一方、「脅威が完全に除去されたわけではない」とも認識。特に、Telecom-ISACのトラフィック分析によると、いまなお250Mbps相当の攻撃トラフィックが流れており、推定でまだ20万台を超えるPCがAntinnyに感染したままだという。これを踏まえ両社は引き続き対策に取り組むとともに、ユーザーにはウイルス対策の導入や最新OSの利用などを通じて感染前の予防に努めるよう推奨している。

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