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携帯で同人誌を――“アキバ型”電子書籍サイト「ドリマガ」

» 2008年03月17日 14時24分 公開
[ITmedia]
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 TVチャンピオン「アキバ王選手権」(2005年)で優勝した寺尾幸紘さんが経営するベンチャー企業・秋葉原総合研究所は、同人作品を専門に扱う携帯電話向け電子書籍サイト「ドリマガ」を3月17日に開設した。「個人の自由な表現を携帯で閲覧できる、従来の電子書籍の一歩先を行く“アキバ型”サービス」としている。

 同人サークルの委託を受け、漫画やイラスト、小説などの作品をダウンロード販売する。会員登録すると購入でき、作品はマイページに保存できる。作品の再生画面はFlashで構築。決定キーを押すと次の画像にスクロールする。

 20サークルと契約しており、サービス開始時には、8サークル・14作品を公開する。作品はオリジナルと2次創作があり、アダルトも含む。2次創作作品については、CLAMPや冨樫義博さんなど、2次創作を認めている著作者のものに限って掲載を認める。

 価格はサークルが自由に設定できる。想定価格は1作品当たり500円前後で、手数料(500円未満の作品は一律150円、500円以上は価格の30%)を差し引いた売り上げを受け取る。

サークルからは賛否両論

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 「ドリマガなら在庫を抱える必要がなく、印刷代も節約できる。新刊や、イベントの場所を告知することも可能だ」と寺尾さんはアピールする。

 「コミックとらのあな」など同人作品を扱う書店は主に新刊を販売するため、売り切れた作品の再販が難しい――といった課題もあったという。「ドリマガなら過去の作品も、いつでも好きなときに販売できる」

 1500サークルにドリマガへ参加を呼びかけた。返事があったのは70サークルほどだ。

 「面白い取り組み。ぜひやりたい」「何でうちみたいな小さなサークルに声をかけるの?」「ダウンロード販売は考えていない」「“ドリマガ”という名前が嫌だ」――サークルからの反応はさまざまだった。

 2009年3月までに登録サークル数130・作品数400に拡充し、1カ月の売り上げ120万円、登録者数2000人を目指す。

同人をライトなオタクにも

 「オタク文化は広まっているが、一般的にはライトノベルすら知らない人が多い。限られた人だけが楽しむというイメージの強かった同人作品を、携帯を使って“ライトなオタク”にも広めたい」と寺尾さんは話す。

 これまで同人誌をダウンロード販売するサイトはあったが、PCサイトが多く、扱う作品はゲームが中心だった。携帯サイトを活用することで、同人誌の読者のすそ野を広げていく。

 「同人誌の制作を始める経緯なども紹介できれば」とも考えている。「あるキャラクターが好きでしょうがない、その思いをどうにか表現したい――と同人を始める人は多い。そういう思いを知ってもらいたい」

 ITベンチャー専門に投資しているコアピープル・パートナーズの出資を受けて始めた。同社の本間真彦代表パートナーは「イラストを描いて、ブログなどで公開する人も増えている。ドリマガで、作品の発表の場を広げていく」と話している。

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