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5周年迎える「radiko」、有料サービス利用者が15万人突破 ネットで新たなファン獲得、好循環も(2/2 ページ)

» 2015年01月23日 11時00分 公開
[山崎春奈,ITmedia]
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エリアフリー有料会員15万人――地域密着スポーツ、アイドルのご当地番組が人気

photo 参加局は全国に広がる

 要望が多かった、居住地域に関わらず全国のラジオを聴けるエリアフリー聴取を提供する「radiko.jpプレミアム(エリアフリー聴取)」を始めたのは昨年4月。月額350円(税別)の有料サービスだが、登録ユーザーは年明けに15万人を超えた。

 岩井社長は「リリース当初に大きな反応をいただいた後も、じわじわとユーザーを増やしている。15万という数字は掲げていた目標の1つでもあり、想定より早いスピードで超えたことは今後につながっていく」と話す。

 一般会員と同じく利用の中心は30〜40代。全国放送では扱わない各地のサッカークラブやプロ野球チームの情報、アイドルやタレントが地方局で出演する番組などが人気という。「一人暮らしを始めてさみしい時、方言がラジオから流れて安心した」「旅行中でもお気に入りの番組を聴けて便利」といった声も寄せられ、「予想以上に幅広い年代、用途でニーズがあった」(岩井社長)と手応えを感じている。

photo 10代にはタレントやアイドルの出演番組のニーズが高い

 ラジオ局側も、番組宛てのメールが全国から届くようになるなど、ダイレクトにリスナーの広がりを感じているという。エリアフリー会員向けに約70局がずらりと並ぶ中、他の地方や都市圏と同じ番組で勝負していても仕方がない。自分たちの強みは何か、独自性は何か、地方局だからできること、楽しんでもらえることは――など、改めて番組制作に役立てたという声もあったという。

新たなリスナーのみならず、未来の作り手を

photo 岩井淳社長

 リスナーだけでなく、広告収入も減り続けているラジオ市場。経営はどこも厳しいのが現実だ。そんな中、局側から配信費用を負担してもらう形で運営しているradiko.jpの参加加局数が増えているのは「ラジオの楽しさを多くの人に届ける必要性やメリットが伝わってきているからでは」と岩井社長は話す。

 「リスナーだけでなく制作側の高齢化も業界として大きな課題。作り手側に回りたいという人を育てるためにも若い人に親しんでもらうチャンスを生み出すことが業界全体の未来につながる。放送メディアのラジオの良さを伝えるために、通信の視点でできることをするのが我々のミッション」(岩井社長)

 現在検討している新機能はタイムシフト聴取だ。芸能人やアナウンサーがラジオで話した内容がSNSやブログで話題になることがしばしばあるが、話題になった番組を後からでも聴けるようにすることで実際の番組聴取にもつなげられれば――という。

 Twitterのハッシュタグなどでメール投稿より気軽な形でラジオに“参加”できるケースも増えており、ラジオへの親しみ方は変わりつつある。「私の学生時代にクラスの話題の中心が前夜のラジオだったように、友達同士の会話で話題にあがるようになってほしい。それぞれ違った良さのある双方型メディアとして、一層の相乗効果を期待したい」(岩井社長)

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