先日、少々悩ましいスマートフォンアプリが話題になっていました。それは、ダウンロード自体は無料だが、初回起動時に「課金の自動継続」を促す画面が表示されるというもの。
その課金が月100円程度であればまだいいのですが、話題になっていたのは毎週2800円の課金が行われるなどの高額なアプリです。広告ブロックアプリを提供する「280blocker」によると、YouTubeの動画広告を投下していたためか、一時期はこうした高額課金アプリなどがApp Storeの無料アプリランキング上位を占め、確かに悪目立ちしていました(筆者が確認した9月24日時点では順位をかなり下げていました)。
以前、似たような話題がありました。そのときには広告を見ただけでいきなり定期継続課金が完結するのはあり得ないと思っていたものの、似たような被害の声も多く上がっていて不思議に思っていました。どうやら、そのときも「広告を見てアプリをインストール」していたことが原因だったようです。どちらにせよ、問題のある内容だと思っております。
このようなアプリの問題を解決するためには、簡単ではない課題を解決しなくてはならないような気がしています。もしかしたら「こんなアプリはストアに置いてはならない」「もはやウイルスだから、セキュリティ対策ソフトが検知してくれればいい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、これらのアプリは恐らくですが(機能の充実度などはともかく)正しく作られたアプリであり、アプリストアの機能を正しく使った定期購入機能を実装したもの。開発者規約を順守していたとしたら、アプリストア側でのルール違反は指摘しづらいものがあると思います。単に、その価格設定が高いだけなのですから。
そしてこのアプリは、定義上もマルウェアではないでしょう。マルウェアとは「不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称」(参考:ネットワークセキュリティ協会)とされています。このアプリが例えば不正に情報を取得、送信しない限り、その点で排除することも難しいです。セキュリティ対策ソフトベンダーがこれらをマルウェア扱いすることはグレーかもしれません。
ただし、「機能の割に価格が高すぎる」という点では誰もが一致した意見を持つでしょう。それは「マナー違反」というレベルです。iPhoneが初登場してApp Storeがリリースされたとき、いきなりApp Storeの上限価格である約10万円(1000ドル)で販売されたアプリがあったことを思い出します(ジョークアプリとしてリリースされ、その後削除された)。
このようなアプリが、日本をもターゲットにし始めたというのは少々頭の痛い問題です。まずは(1)「(高額)定期購読をいきなり促すアプリが存在している」ことを知ること、そして(2)指紋認証の「Touch ID」や顔認証の「Face ID」でとても簡単になってしまった購入の確認を、普段の癖で何も考えずに承認してしまわないこと――が、今の所は重要です。
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