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Apple T2チップHEVCエンコードの利点と限界

» 2018年12月12日 08時43分 公開
[MACお宝鑑定団]
MACお宝鑑定団

 Charlie Monroe Softwareが、Mac用動画変換アプリ「Permute 3」をリリースし、Apple T2 チップを利用した「HEVC」(H.265)ハードウェアエンコードに対応した。

photo Permute 3

 MacBook Pro (13-inch, 2018, Four Thunderbolt 3 Ports)/4 Core Intel Core i7/2.7GHz/8GB/1TBSSD/Intel Iris Plus Graphics 655を使用して、MP4-AVC 1920x1080/29.97pの10分動画(480MB)をHEVC (H.265) Medium Quality書き出ししてみた。

 まず、通常のソフトウェアエンコード処理を行ってみた。

photo MacBook Pro (13-inch, 2018):CPU

 エンコード時間:424秒、ファイルサイズ:161.1MBという結果になった。

 時間はかかるが、丁寧にエンコードしてビットレートを下げてるようだ。

 Permute 3の環境設定にあるHEVC(H.265)オプション「Use Hardware Acceleration」をオンにすると、T2 チップを利用したHEVC(H.265)ハードウェアエンコード処理になる。

photo MacBook Pro (13-inch, 2018):T2

 エンコード時間:123秒、ファイルサイズ:457.3MBという結果になった。

 CPU負荷が下がり、GPUは使用されていないことがわかる。

 ファイルサイズがあまり小さくならないことから、フォーマット変換のみ行っているようです。

 QuickTimeを使用してHEVC (H.265) 書き出ししてみた。

photo MacBook Pro (13-inch, 2018):GPU

 エンコード時間:125秒、ファイルサイズ:637.6MBという結果になった。

 Iris Plus Graphics 655は、QSV 6のH.265/HEVC 10/10-bitをサポートしていて、T2と同程度の処理速度だが、ファイルサイズは元ファイルよりも大きくなる。

 今度は、最初にT2チップを搭載した、iMac Pro (2017)/10 Core Xeon W 3.0GHz/64GB/2TBSSD/Radeon Pro Vega 64(16GB)を使用して、同じMP4-AVC 1920x1080/29.97pの10分動画(480MB)を、Permute 3を使用したHEVC (H.265) Medium Quality書き出ししてみた。

photo iMac Pro (2017):CPU

 CPUエンコードの場合、エンコード時間:197秒、ファイルサイズ:167.8MBという結果だ。

 Permute 3の環境設定にあるHEVC(H.265)オプション「Use Hardware Acceleration」をオンにしてエンコード処理してみた。

photo iMac Pro (2017):T2

 エンコード時間:120秒、ファイルサイズ:457.3MBという結果だった。

 VideoToolbox Frameworkは、Macのハードウェア環境をみて処理を行うようで、T2だけでなくRadeon Pro Vega 64も使用するようだ。

 QuickTimeを使用してHEVC (H.265) 書き出ししてみた。

photo iMac Pro (2017):GPU

 エンコード時間:120秒、ファイルサイズ:637.6MBという結果になった。

 Radeon Pro Vega 64は、4K60(デコードと混合)または1080P240をサポートしていて、Iris Plus Graphics 655よりも若干速く、T2と同程度の処理速度だが、やはりファイルサイズは元ファイルよりも大きくなる。

 スーパーハイビジョン (8K, 4320p) など高解像度な映像だけでなく携帯端末向けの映像配信での利用も想定され、H.264/AVCとの比較で約2倍の圧縮性能を有する「HEVC (H.265) 」だが、映像配信を意識した場合は、CPU処理によるソフトウェアエンコードの方がファイルサイズは小さくなるということが分かった。

撮影協力:MACお宝鑑定団 江東支部

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