ハードウェア的な観点でいえば、Intelがチップセット内にUSBのコントローラーを実装して提供していたから、マザーボードメーカーはUSBコネクターをチップセットにつなぐだけで、あとは周辺機器メーカー任せという話で実装の難易度は低かった。
1996年2月にIntelは430VX(Triton VX)および430HX(Triton II)とあわせて、APICとUSB 1.1をサポートしたPIIX3(82371SB)をリリースする(写真2)。
1998年3月にリリースしたSpecification UpdateではErrataが15個(うち14個がUSB関連)で、しかもPIIX3のRevision Upで解消されるのはそのうち7つだけ(写真3)といった具合に、製品クオリティーに達しているとは言いがたいレベルだった。
これをサポートするソフトウェアの方も大変だった。
USBを最初にサポートしたOSはWindows 95のOSR(OEM Service Release) 2であった(公式にはOSR 2.1以降)が、確かOSR 2の段階だと「UHCIは試したけどOHCIはテストしてない(当時OHCIのコントローラーの実物がないため、テストできなかった)」とかドキュメントに書いてあった始末で、実際OHCIだとうまく動かなかったりした。OSR 2.1で多少改善した記憶はある。
どういうことかというと、IntelはUSBのコントローラーをUHCI(Universal Host Controller Interface)という名称で提供したが、なぜか当初このUHCIのAPIとかを一切公開しなかった(その後、EHCIを公開した後で公開している)のである。それもあって、UHCIのライセンスを受けたVIA Technologies以外の互換チップセットベンダーはUSBのコントローラーを実装できなかった。
この対抗策としてOHCI(Open Host Controller Interface)という規格がCompaq、Microsoft、National Semiconductorの3社により策定された。ただこれは当然Microsoftを始めとするソフトウェアベンダーにとっては面倒以外の何物でもなかった。
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