太陽光発電所の芽をつぶさない、SBエナジーの取り組みとは

固定価格制度(FIT)の運用が始まってから3年目を迎え、数多くの太陽光発電所が運転を開始している。その一方、計画半ばにして建設に至っていない案件も多い。経済産業省はこのような案件を取り除く運用を開始した。タイムリミットは2014年8月末。ソフトバンクグループで発電事業に取り組むSBエナジーは、このような案件に手を差し伸べる取り組みを開始した。

» 2014年04月14日 10時00分 公開
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 太陽光発電所の立ち上げに「黄色信号」が点灯した。経済産業省が2014年4月1日から、固定価格買取制度(FIT)の運用を変えたからだ。

 これまでは経済産業省からいったん設備認定を受けると、発電所を立ち上げる時期はいつでもよかった。これからは違う。発電所の立ち上げに不可欠な土地や設備を確保していなければ、認定を失効させる。対象は50kW以上の案件だ。

 具体的には、図1に示したような流れを採る。これまでは図上部の黒い矢印に従った流れに従っていた。設備認定から着工までの間には特に条件はない。今後は、赤い矢印で示した設備認定後「6カ月」という制限が付く。

図1 新しい認定制度の運用 出典:経済産業省

 経済産業省がこのように運用を変えた理由は「認定を受けながら理由なく着工に至らない案件がある」という指摘を受けたためだ。

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)で事業者は、経済産業省からの報告徴収に応じる義務(罰則付き)を負っている。同省は指摘に応じ、2013年9月から2012年度中に認定を受けた4699件(合計出力1332万kWh)に対して報告を命じた。報告しなければならない内容は主に2点。発電所の用地を確保しているか、設備の仕様が決まっているか。その結果、図2のような結果がまとまった。

 図2のうち、赤字で示した2つの区分は2014年3月から順次、行政手続法に基づく聴聞が始まっており、場所や設備が決まっていないと認められると、認定が取り消されてしまう。もはや手遅れともいえる。

図2 報告徴収の結果(2014年1月末現在) 出典:経済産業省(表の一部を強調)

最後のチャンスを生かす

 時間が限られているものの、対応が可能なのは、黄色で示した2項目だ。2014年8月31日までに場所と設備が決定済みだと経済産業省が確認できなかったものは、赤字の区分と同じ手続きに入る。逆にいえば、8月31日まで短期間ながら猶予がある。

 ソフトバンクグループで発電事業を進めるSBエナジーは、経済産業省の運用変更に伴って黄色信号が点灯した案件に手を差し伸べる取り組みを開始した。

 「設備認定通知の他、土地の地権者の登記情報、地権者との同意書以上の書類、連系資料の一式があれば十分可能性はある」(SBエナジー)。設備認定通知は経済産業省が発行する書類であり、連系資料とは、設備や設備のレイアウトが記されている書類を指す。

 設備認定を受けた後、地権者との交渉があと一歩という場合、造成費用がかさむため事業資金が不足している場合なども、SBエナジーが事業を引き取る形で協力できるとした。協力の対象となる出力規模は1MW以上のもの。出力が10MWを超える太陽光発電所についてはSPC(特定目的会社)を設立し、共同で運営する形を採ることもできるという。

なぜ手を差し伸べるのか

 SBエナジーは、ソフトバンクグループの中で自然エネルギーを用いた発電に取り組む企業。2014年2月末時点で、建設中のものを合わせ全国に18カ所の発電所があり、総出力は290MWを超える。稼働中の太陽光発電所で最大のものは「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」(鳥取県米子市、約42.9MW、図3)。風力発電にも取り組んでいる。2015年の運転開始を予定している「ウインドファーム浜田」(島根県浜田市など、出力48MW)だ。

図3 2014年2月に運転を開始したソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク

 SBエナジーの取り組みには原則がある。発電所の「権利」を転売したり、完成後の発電所の運営を他社に任せたりすることは考えていない。自ら土地を取得し、建設、運営まで自社が中心となって進める。いったん発電所を立ち上げた後、20年間確実に発電を続けるためである。

 SBエナジーがこのような原則を打ち出した理由は、同社社長の孫正義氏がエネルギー事業に取り組み始めたきっかけ、「思い」に由来する。

 東日本大震災が起こったとき、ソフトバンクグループの携帯電話網が東北地方を中心に止まってしまった。故障した基地局を修理しても、基地局に電力が送られてこない。基地局の電源を確保しても、顧客が携帯電話を使えない場面が少なくなかった。電池を充電できないからだ。

 ソフトバンクグループは電気通信事業を主軸に据えている。しかし、電力がなければ電気通信事業はなりたたない。そこで、孫正義氏は固定価格買取制度(FIT)の形が定まる以前に、10カ所以上、200MWの太陽光発電所を立ち上げることを表明。孫氏によれば、再生可能エネルギーが国内に普及するためのきっかけづくりだったという。

 同氏のきっかけづくりは成功した形だ。当初の目標を超えて自社発電所の規模が広がり、太陽光発電市場は国内産業の中でも最も成長が著しいものの1つとなった。

 孫氏の思いはさらに広がっていく。太陽光発電は廃棄物をほとんど排出せず、安全で、国産のエネルギー源だ。国全体の発電規模を考えると、太陽光発電はまだまだ大変に少ないといえる。未来の方向性は自然エネルギーであるに違いない。なんとか太陽光発電をさらに広げられないだろうか。

 現在、せっかく太陽光発電事業を始めようと計画を立てたにもかかわらず、事業開始に至らないケースが多い。有益な取り組みにチャレンジしようとしている個人や企業を「救い上げる」ことができないか。これが今回の取り組みを開始した理由だ。

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提供:SBエナジー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2014年5月13日