小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
いまさら聞けない「MCP」 AIエージェントを支える“AI界のUSB-C”とは? ビジネスへの影響を解説(1/3 ページ)
2024年末から25年初めにかけて「2025年はAIエージェントの年になる」と予想する声が各地で上がった。それから4カ月が経過したいま、この予想はさまざまな形で現実のものになろうとしている。その兆しの一つが、AIエージェントに関する各種規格の発表と普及だ。
今回はその中でも特に注目されている2つの規格、MCPとA2Aについて、ビジネスの側面から考えてみたい。
OpenAIも採用に踏み切った「MCP」とは?
3月末、ChatGPTでおなじみの米OpenAIが行った1つの発表が、関係者から大きな注目を集めた。それはChatGPTのデスクトップアプリ版やAPIを「AI界のUSB-C」とも喩えられる規格「MCP」(Model Context Protocol)に対応させるというものだ。この件を報じたITmedia NEWSの関連記事では、MCPを次のように解説している。
MCPはAnthropicが2024年11月に発表した規格。従来、AIを使ったサービス・ソフトウェア開発は、外部ツールとの連携に個別の実装が必要だったところ、共通規格を作ることで開発者の負担を減らすとしていた。Anthropicは「AIアプリケーション向けのUSB-Cポートのようなもの」と例えており、すでに「Slack」「Google Drive」「GitHub」「Notion」といったツールが対応している。
米Anthropicは、かつてOpenAIの研究担当副社長を務めたダリオ・アモデイさんと、彼の姉で元安全・方針担当副社長のダニエラ・アモデイさんを含む、OpenAIの元従業員たちが21年に設立した企業。彼らがOpenAIを離れたのは、同社内での意見対立があったためと見られており、その後もOpenAIとAnthropicは激しい競争を続けてきた。
そんなライバル会社の規格を受け入れたというのは、それだけMCPへの注目度が高く、その普及も進んでいることの裏返しともいえる。従って、この規格がまさにUSB-Cのような「AIエージェントにおけるデファクトスタンダード」となることが決定づけられたのではないか――そんな理由から、この発表に注目が集まったのだ。
ではMCPがデファクトとして定着するとして、私たちにどのような意味があるのだろうか?この技術について解説した上で、ビジネスへの影響を考えてみたい。
「AIアプリケーション向けのUSB-Cのようなもの」
改めて「2025年はAIエージェントの年」と表現されるほど、いまAIエージェントへの関心が高まっている。企業にとっては、社内の業務効率化を大きく推進する可能性を秘めた技術であり、現場だけでなく経営層が注目するのも当然だ。
しかし企業のトップが想像するような、高度な自律性と安全性を持ったAIエージェントが活躍するようになるには、まだ乗り越えなければならないハードルが多い。
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小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
生成AIやメタバース、新たなサイバー攻撃など、テクノロジーの進化が止まらない。少しずつ生活の中に浸透し、その恩恵を預かれることもある一方、思いもよらない問題を生み出すこともある。このコーナーでは、さまざまな分野の新興技術「エマージング・テクノロジー」について、小林啓倫氏が解説する。
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