「視力を失った父に、AIを使わせてあげたい」 プログラミング未経験の娘が「季語ツール」を開発するまで(1/3 ページ)
「夏の季語」というWebアプリがある。プログラミング未経験の女性が、俳句が好きな父のためにAIで開発したツールだ。
タップすると、「日傘 夏の日差しを避ける傘です」「夏野 夏の野原の風景です」など、夏の季語がランダムで表示され、音声で再生される。
父は昨年、病気で目がほとんど見えなくなった。読書や俳句などの趣味を突然失い、ふさぎ込んでいた。
娘のnidoneさん(@nidone_tyo)は、「何とかして父のやる気を取り戻してあげたい」と、AIとともに試行錯誤。HTMLやCSSなどの知識はゼロだったが、AIと相談しながら「夏の季語」ツールを作り上げ、父のスマートフォンで使ってみせた。
「こんなことができるのか!」。父はとても喜び、毎日季語を聞いては句をひねっているという。
視力を失い、うつ状態になった父
見えていたころの父は、多くの本を読んでいた。俳句も好きで、句会に通ったり、雑誌に句を投稿したりしていた。
病気で突然、ほとんどの視力を失い、文字が読めなくなった。「好きなことが何もできなくなった」とふさぎ込み、「生きる意味がない」とうつ状態になってしまった。
「どうにか生きるエネルギーを取り戻してもらいたい」。娘のnidoneさんは役所や障害者支援関連の団体などを訪れ、見えなくなった父が喜びそうなサポートを探し続けた。
そこで知ったのが「点字図書館」だ。電話して読みたい本を指定すれば、書籍を音声化したCDを無料で借りられる。専用のCDプレーヤーも安価に購入でき、父は気力を取り戻したという。
読むことができるようになった父にnidoneさんは、「書くことも再開したら?」と呼びかけ続けた。大きなスケッチブックを買い、「大きな字で書いてくれたら読めると思うよ」と渡してみたところ、父は手探りで句をメモし始めた。nidoneさんは父と読み合わせながら清書し、雑誌などに投稿するようになった。
父にAIを使わせてあげたい
気力を取り戻した父に「AIを使わせてあげたい」とnidoneさんは考えた。知識欲が旺盛で、調べ物も好きだった父に、AIで調べ物ができるようにしてあげたかった。Web制作会社に勤めた経験があり、趣味でもAIを使っていたnidoneさんだが、ツール開発は初めてだった。
父のAndroid端末を使い、ChatGPTやGeminiを音声操作可能にできないか。AIとともに試行錯誤を繰り返したが、実現できなかった。
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