世界初、AIで新種の化石を発見 北大などのチームが発表 約7000万年前の地層から産出
北海道大学などの研究チームは1月22日、AIによって7000万年前の新種となる化石を発見したと発表した。見つかった化石は、新属新種となる頭足類で「Uluciala rotundata」(ウルシアラ・ロツンダータ)と命名。現在の海洋で繁栄していながらほとんど化石記録がなかった「コウイカ」と「ダンゴイカ」からなるグループの最古の記録になる。
生命の進化を探る上で、最大の課題の一つは化石記録の不足だ。従来、化石の探査はフィールドを探索し、探索者の経験や人手に頼る方法が中心だった。このため、見つかる化石は「研究者がすでによく知っているもの」「大きくて見つけやすいもの」「硬く丈夫なもの」に偏るという問題があった。
このバイアスを取り除くため、研究チームはAIを使った手法に注目。「ゼロショット学習AI」(ルールや条件を関連付けた推論から未知のオブジェクトを検出できるAI)を使って、岩石内部から化石を自動的に抽出する手法を開発した。この方法では「岩石を少しずつ削り断面を高精細で撮影する」という過程を繰り返すことで、岩石をデジタルデータに変換して内部をフルカラーで可視化する。これによって物理的に取り出すことができない化石も、デジタル上で分離可能になった。
研究チームは、米サウスダコタ州の白亜紀後期(約7400万~6700万年前)の地層から産出した岩石にこの手法を適用することで、岩石内部の化石を全て3Dモデル化。内部に含まれていた頭足類のクチバシ化石を詳細に観察し、現生種・化石種と比較することで、新種の化石の発見へと至った。
研究チームは今回の研究成果について、世界で初めてAIが新種となる化石の発見した例だと説明。見つかった新種の化石は「この種はコウイカとダンゴイカの中間的な特徴を示し、化石記録が乏しく実証が困難だった両者の近縁性を裏づけた。約7400万年前の標本はその最古の記録に当たり、彼らの分化や多様化が白亜紀に始まっていたことを示した」と述べている。
この研究成果は、科学雑誌「Communications Biology」に1月16日付でオンライン掲載された。
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