「仕事がなくなる?」“AIの影響”可視化へ 東大松尾研、Anthropic、PKSHAが協業
東京大学の松尾・岩澤研究室(以下、松尾研究室)は6月4日、米AnthropicおよびAIサービスなどを開発するPKSHA Technology(東京都文京区)と協業すると発表した。日本におけるAIの影響を可視化する基盤「Japan AI Index」の構築を目指す。第1弾の分析結果を秋ごろに公開する予定だ。
LLMの利用に関する統計データと、日本国内の経済や雇用、教育に関する公的データを組み合わせて分析する。AIによる働き方や組織、教育の変化、経済への影響などの可視化を図る。例えば、職種ごとのAIの活用法や年齢・地域別の利用率、他国の利用状況との違いなどを測定する。
協業では、松尾研究室が中立的な分析設計を主導する。AnthropicがチャットAI「Claude」の匿名化した利用統計データを、PKSHAが企業におけるAI実装の知見をそれぞれ提供する。Claudeのデータは、Anthropicが公開するレポート「Economic Index」に活用しているものという。
10~11月ごろに初回レポートとダッシュボードを公開する。四半期ごとのアップデートや年次レポートを通じて情報を発信するほか、分析対象の拡大や参画企業の募集も行う方針だ。
背景には「AIエージェント・フィジカルAI」の発展
PKSHA Technologyの上野山勝也代表は、Japan AI Indexの背景として、ユーザーの指示に従って自律的に行動するAI「Large Action Model」(LAM)の発展を挙げる。サイバー空間ではAIエージェントが、物理空間ではフィジカルAIがLAMとして進化しており、仕事にも影響を与えると予測する。
一方、同社に届く声は「7割が不安、3割がポジティブ」。「仕事がなくなるのではないか」といった漠然とした不安が漂っているにもかかわらず「ファクトベースで議論する場・土台がない」と指摘する。
「(AIにより)どの職がどう変わるのか、経済にどのような影響があるのか、AI時代の教育はどうあるべきか、空中戦ではなくデータに基づいて議論する。その触媒を産学連携で作っていきたい」(上野山代表)
Anthropicと協力する理由
AIモデル「Claude Mythos Preview」を巡るサイバーセキュリティの動向をはじめ、昨今世間の注目を集めているAnthropicだが、米OpenAIや米Googleなど競合他社のAIサービスを利用する日本のユーザーも少なくない。Japan AI Indexでは、なぜAnthropicと協力するのか。
松尾研究室の岩澤有祐准教授は、AIの影響を分析する際の「親和性」を理由として挙げる。AnthropicがAIの安全性を重視して発足した経緯や、Economic Indexの発信など、単なるAI活用の推進にとどまらない“先進性”が今回の協業につながったという。
なお、Japan AI Indexの目的に基づき、Anthropic以外の企業からのデータ取得も今後検討する。
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