AIの社会実装、日本はなぜ遅れる? 原因は“下請けへの伝言ゲーム”か PKSHA代表が解説(1/3 ページ)
日本ではなぜAIの社会実装が遅れているのか──AIベンチャー・PKSHA Technology(東京都文京区)の上野山勝也代表は2月25日、事業戦略説明会でそんな内容の講演を行った。上野山代表は「意識改革やスキル育成では突破できない、構造的問題がある」と日本のAI活用の課題を指摘。自社のビジネスモデルを開示し、課題解決のポイントを説いた。
まず前提として、日本の現在の立ち位置を示した。2023年時点で、日本のGDPは全世界で4位である一方、日本貿易振興機構(JETRO)が調査した、24年の「デジタル競争ランキング」(IMD)では31位という結果だった。特に“企業の俊敏性”においては、64位にランクインし、日本の弱みの一つとして挙げられている。
なぜ日本はこのような評価となっているのか。上野山代表は、日本のビジネス構造の特徴にある「多層伝言ゲームの開発体制」を原因として指摘している。
「大企業のDX担当者から『AIを活用したい、何かを作りたい』と受注側の営業にオーダーしたとする。すると次にその営業が社内にその話を持ち帰り、設計図を定義する。ただ、社内の開発チームだけでは全ては作れないので、1次受けに発注。その1次受けもエンジニアが足りなければ2次受けに発注する……このように日本のソフトウェア開発は多層構造になっていく傾向がある」(上野山代表)
このような構造は、ビルなどの建造物を建てるときには有効であると知られ、ソフトウェア開発でも昔から採用されていた方法であるという。特に基幹システムや大規模なソフトウェアを作る際に使われてきた。多層の伝言ゲームを繰り返しながらも、日本人のきめ細かな気質も寄与し、これまではビジネスとして成り立ってきた。
しかし、AIを使ったソフトウェアでは、根本的に求められる構造が異なるという。上野山代表は「AIというのは、データ循環型構造を取ったソフトウェア。使えば使うほど精度が上がっていくので、会社が分かれている多層伝言ゲームでは循環するわけがない。同じデジタルだが全然違う」と見解を示す。
これを踏まえPKSHA Technologyでは、多層伝言ゲームを1階層に圧縮した「垂直統合型ビジネスモデル」を取っている。エンジニアも商談の場に同席し、クライアントからの質問にその場で解決策を提示し、時間を短縮しつつ、双方向のコミュニケーションで具体化を進める。同社はこれを「共進化型のプロセス」と説明している。
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