前編「Appleはもう『メモリのお得意様』ではない? NVIDIAだけでiPhone数億台分、苦境に陥った”買いたたき王者”のいま」では、米Appleによる中華メモリメーカー・CXMTへの接近と、その対応にはあまり意味がないのでは? という疑問を述べた。後編では筆者がそう考える背景をご紹介したい。
まず、CXMTがどんな企業かおさらいしておこう。正式にはChangXin Memory Technologiesという名称で、生い立ちに関して言えばエレクトロニクス業界誌「EE Times Japan」に載っているJunko Yoshida氏による記事が非常に分かりやすい。
中国はMIC2025(中国製造2025:2025年までに半導体の自給率を70%まで引き上げるというプロジェクトあるいはイニシアティブ)を立ち上げており、それに際してさまざまな企業に出資を行った。
中国中央政府及び福建省から出資を受けて設立されたDRAMメーカー・JHICCもその1社だ。CXMTは、同社と半導体メーカー・Tsinghua UniGroup子会社のXi'an UniIC Semiconductorsの合弁企業に近い。
といってもCXMTはTsinghua UniGroupとは一切の資本関係が無いという結構複雑な生い立ちになっている。ちなみにDRAMそのもののビジネスはTsinghua UniGroup自身も手掛けていたが、21年7月に破綻寸前となり、その後Zhiguangxin Holdingの出資を受けて持ち直すこととなったが、この際にDRAMビジネスはUniIC Semiconductorsに集約させ、Tsinghua UniGroup自身はDRAMビジネスから撤退している。
さてそんなCXMT、言葉は悪いが設計のイニシアチブは旧UniIC側が握り、資金調達を旧JHICC側が担う形でまず300mm Fab(製造拠点)を建設。17年末には製造装置の搬入が開始され、18年中ごろに量産テストが開始された。当初の製品は8GBのLPDDR4で、19nmプロセスで製造された。なぜLPDDR4かというと、当時UniICの方で既にDDR3の量産が始まっており、同じものを作っても仕方がないと判断したためと思われる。
量産出荷開始は19年ごろからスタートしている。エレクトロニクス業界誌である米EETimesが19年12月に掲載した記事によれば、この時点でCXMTは月産2万枚のDRAMウェハの製造を進めており、20年には月産4万枚まで増強するという話だった(実際はそこまで行かなかったが)。
20年に入るとLPDDR4に加えてDDR4の生産も開始。ここから順調に生産量を伸ばしてゆき、22年には月産5万枚まで生産量は増えた。
23年には7万5000枚強、そして24年には月産10万枚を超えた。台湾の業界紙DigiTimesのレポートによれば24年通年では162万枚のDRAMウェハの出荷を行っている。ちなみにこの24年、同社の出荷量はWinBondやNanyaといったメーカーを超え、世界第4位(シェア5%)に達した。
ちなみにもともとCXMTが17年に建設したFabの生産能力は月産12万5000枚をターゲットにしており、つまり24年の時点でCXMTの生産能力はほぼフル稼働状態だったことになる。
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