Sakana AIは3月12日、AIシステム「The AI Scientist」の改良版「v2」が書いた論文が、AIに関する国際カンファレンス「ICLR 2025」(International Conference on Learning Representations)のワークショップで査読を通過したと発表した。AI生成の論文が査読をクリアするのは世界初という。
The AI Scientistでは、人間が介入することなく、研究アイデアの立案から実験、論文執筆などを全自動で行う。今回の論文は、The AI Scientistの改良版である「The AI Scientist-v2」(v2)が生成した。なおv2の詳細は今後リリース予定。
検証はICLRの主催者と協力して行った。v2が一貫して生成した論文を3本用意。査読者にAIが生成したものと伝えず、査読を実施したところ、3本のうち1本の論文が採択基準を満たしたという。採択された論文は、ニューラルネットワークのトレーニング手法に関するもの。査読者の評価も高く、人間が書いたものを含めた採択論文全体の平均スコアを上回ったとしている。
一方Sakana AIは、現在のAIコミュニティーと科学コミュニティーでは、AIが書いた論文の取り扱いが定まっていないとして、論文が採択された場合、出版前に撤回することが事前に決まっていたと説明。今回はワークショップでの採択であり、メインカンファレンスの査読結果ではないとしている。なお同社のAI研究者による独自評価では、v2が生成した論文3本はいずれもメインカンファレンスの基準に満たなかったと明かした。
同社は今後、トップカンファレンスの査読を通過できる質の高い科学論文を作成できるようv2を改善。これと並行し、AIが科学論文を生成してアカデミックなプロセスに参入する際の倫理的な規定や注意点なども論文として公表するとしている。
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