スタジオジブリからAIアプリの差し止め要求がきた──ある海外ユーザーがX上でそんな投稿をして話題となったが、実はこれ「フェイクニュースでは」と指摘する声が相次いでいる。スタジオジブリに似たロゴが入った書面の画像も添付されており、本物と勘違いする人が続出。自社サービスの宣伝を目的とした“炎上マーケティング”と指摘する声もあり、物議を醸している。
問題の投稿をしたのは「teej」(@tj_littlejohn)と名乗るXユーザー。この人物は3月27日(現地時間)、投稿画像が全てジブリ風の画風に変わるという写真共有アプリ「Gib」をリリースすると告知していた。その後28日には、このアプリに対してジブリから差し止め要求がきたというポストを画像とともに投稿した。その投稿内容は以下の通り(原文は英語)。
「スタジオジブリから、この差止命令を受け取ったところだ。AIは保護に値するものであり、罰せられるべきものではない。表現は神聖なものである。想像力は違法ではない。それを証明するために殉教者になる必要があるなら、そうしよう。私は現在、法務チームを編成している。この戦いに賛同する企業は、連絡してほしい」
この投稿に添付した通知書の画像には「スタジオジブリがGibに対して知的財産権の侵害を理由に差し止めを要求する」という旨の文言を記載。一方、画像上部にあるスタジオジブリロゴは細部が本物とは異なっている。
またスタジオジブリの法務顧問を名乗る組織として「Sakura & Hoshino LLP」の記載もあるが、Web上ではその実態を確認できず、そのメールアドレスも存在しないようだ。また電話番号には、米国で架空の番号として使われる局番「555」が含まれている。
これらの点から通知書は偽物であるとの指摘が複数出ている。しかし、一部のXユーザーは、本物の通知書と勘違いしてしまい、リポストなどで拡散してしまうケースが相次いだ。28日(日本時間)午前11時ごろまでには、該当の投稿がフェイクであると指摘するコミュニティーノートが付けられた。
この一連の動きを見た他ユーザーからは「一体何が本当か分からない」など困惑する声が続出。また自社アプリの宣伝のために、スタジオジブリを巻き込んだ炎上マーケティングだと指摘する声もあり、投稿主にポストの削除を求める意見も上がっている。
AI画像を巡っては、米OpenAIが25日(現地時間)に発表したChatGPTの新たな画像生成機能をリリース。この機能で、ジブリに似た画風の画像を容易に出力できることが話題になっている。この動きは世界的に流行しているもので、一部の人たちはこれを「Ghiblification」(ジブリフィケーション)と呼んでいるようだ。
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