ChatGPTを最も使っているユーザー層をご存じだろうか。米OpenAIの日本法人・OpenAI Japanの長崎忠雄社長によると、日本のChatGPTユーザーのうち「大学生、特に18〜24歳が最多のユーザー層」(3月時点)という。大学側も対応を進めており、例えば滋賀大学は3月、教育機関向けのChatGPT「ChatGPT Edu」を国内で初めて導入。一方、慶應義塾大学では4月、AIに課題を書かせると無関係な内容を出力する資料を授業で配布し、AIの不正利用に対する注意喚起などを行ったという。
学びを巡る環境がAIによって大きく動くなか、当の大学生たちはAIをどのように受け止め、活用しているのか。実態を探るため、先日まで大学生だった、アイティメディアの2025年度の新卒社員3人に話を聞いた。
Tさん:エンジニア職として入社。大学では情報系を専攻。
Nさん:総合職として入社。大学では社会学を専攻。
Yさん:編集記者職として入社。大学では文学を専攻。
――大学の授業や課題で生成AIを使っていましたか
Tさん(情報系専攻) 1番使っていたのは、プログラミングの課題です。エラーが出た時、そのエラーがどういう意味かChatGPTに聞いていました。どうやって直したらいいか答えてくれるので。
米AnthropicのチャットAI「Claude」も、2024年ごろから使っていました。Claudeには、コードは動くけど意図した動きじゃない時、どこがおかしいのか聞いていました。プログラムそのものを見せるなら、Claudeのほうが(回答の)精度が良かったです。
AIエディタ「Cursor」も使ってみたのですが、すぐに使わなくなりました。(AIが補助する)コードの書き方が自分の書き方と違って、それを書き換えるのが面倒になったんで(笑)
プログラミングで成果物を作る課題などでは使えましたが、レポートはダメでした。
Nさん(社会学専攻) ChatGPTをたまに使っていました。「○○について説明して」といった(課題が出た)時、答えを見るわけではないですが、いったんChatGPTに聞き、どういう方向性で書けば良いか確認していました。
文章の言い換えにも使っていました。教科書やWebサイトの文章をそのままコピペしたら盗用になるし、引用するとしても「レポートの〇割が引用だとダメ」というルールがあったので、「これをいい感じの言葉に言い換えて」と指示して(表現は異なるが)内容は一緒の文章にしてました。
AIを使えるかどうかは授業や先生によりました。
Yさん(文学専攻) 私の大学も一律禁止というわけではありませんでしたが、先生によっては使えませんでした。
――逆にAIを使っても良いと言っていた先生はいましたか
Yさん(文学専攻) いませんでした。
――では使い方としては、AIが禁止されていない授業でこっそりみたいな……
Yさん(文学専攻) そうですね。(ただし文学部の授業の課題では)ある作品に対してどう思うかなど、リアクションペーパーに自分の考えを書くことが多かったので、そもそもChatGPTに聞くのが難しかったです。
――周囲の学生たちはAIに対して、どう反応していましたか
Tさん(情報系専攻) 周りでも使っている人が多かったです。
Nさん(社会学専攻) (そもそも学部内で)ChatGPTの使用が推奨されてませんでした。授業やレポートで使うというより、「慣れ親しんでおくと今後楽かもね」くらいしか先生に言われませんでした。学生間でも「このレポートでChatGPTを使った」と言ったら、ズルしたみたいなニュアンスが若干あるというか。
――ChatGPTは無料のものを使っていましたか
Nさん(社会学専攻) 無料プランのChatGPTを使っていました。
Yさん(文学専攻) (同じく)無料プランを使っていました。
Tさん(情報系専攻) ChatGPTは有料プラン「Plus」、Claudeも有料プラン「Pro」を使っていました。Cursorは無料のものでした。
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