「人型ロボ世界シェア1位」中国Unitreeに聞く“普及戦略” 日本市場をどう開拓?
「ロボットのChatGPTは2027年に来る」――ロボット開発企業である中国Unitree RoboticsのXiaoli Chen氏(APEC担当ディレクター)は、人型ロボット事業の展望に関してこのように語る。
Unitree Roboticsは、近年激化する人型ロボットの開発競争の中で、注目を集める企業の1つだ。2016年に設立後、23年から人型ロボット事業に参入した。25年時点で、二足歩行できる人型ロボットの世界市場シェア約4割を握り、首位に立つとうたう。業績面でも同年の売上高は392億円で、前年比435%に達するなど急成長しており、26年内の上場も控える。
一方で「弊社はまだ若く、発展途上」とChen氏。人型ロボットの本格的な社会実装や市場展開には至っていないという。
Unitree Roboticsは、人型ロボット事業をどう拡大していくのか。日本市場にどのように展開するのか。5月28~29日に東京都で開催された人型ロボットのイベント「Humanoids Summit Tokyo 2026」に登壇したChen氏に聞いた。
人型ロボ、どう普及?
Unitree Roboticsは、開発する人型ロボットのデモ動画でも知られる。中でも、中国で2月の春節(旧正月)に合わせて放送される人気番組「春晩」では、Unitree Roboticsの人型ロボット「G1」がチームで登場した。片足での連続宙返りや、一糸乱れぬカンフーアクションなど“人間顔負け”のパフォーマンスを見せた。
Chen氏によると、このデモでは事前設定した動作とAIによる自律動作を組み合わせた。基本的な動きの流れは決めており、他のロボットや壁といった障害物の検知・回避や、二足歩行を保つためのバランス調整などは自律的に処理したという。
こうした運動性能を背景に、特にエンターテインメント用途では、一部で実用レベルに到達しつつある。日本でも「(人型ロボットで)YouTube動画のようなダンスはできるか」といった問い合わせが4月ごろから増えており、代理店などを通じたサービスの提供体制を整えている。
一方Chen氏は、さらに社会実装を進めるための戦略として「コストの削減」を掲げる。人型ロボットを労働現場に導入するには、各用途に適した動作をできるようにしなければならない。しかし動作を制御するAIの学習にはコストがかかる。
そこでUnitree Roboticsは、全身動作と手による物体操作をそれぞれ別のやり方でAIに学習させ、両者を組み合わせる手法に注力している。これにより、動作をカスタマイズする際のコストを減らせるという。
米NVIDIAや米Googleなどと協力し、動作を効率的に学習できるロボット向けの汎用AIモデルの開発も進める。ハードウェアのコスト低減にも取り組んでおり、導入における費用対効果を高めることで、エンタメ以外の分野にも人型ロボットを展開したい考えだ。
Chen氏は、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOの言い回しを踏襲し、ロボット向けの汎用AIモデルの進化について「ロボットのChatGPT」と表現する。ChatGPTを発端に生成AIが一般化したように、近い将来、同様のブレークスルーによって人型ロボットも普及すると予測した。
「ロボットのChatGPTは2027年に来る可能性が高い。そうすれば、動作の学習コストも大幅に削減できる。99%のタスク成功率を求めるような製造業は難しいかもしれない。だが、飲食や介護など労働の(物理的な)自動化が進んでおらず、人手不足の業界では人型ロボットの普及も早いだろう」(Chen氏)
日本市場での展望
Chen氏は、日本市場について「具体的な数字は言えないが、規模感としてはトップクラスに重要性が高い」と説明する。少子高齢化や労働人口不足といった課題を背景に、Unitree Roboticsの人型ロボットの導入を求める声が日本企業からも複数寄せられているという。
日本での需要には、代理店をはじめとするパートナー企業と協力しながら応えていく方針だ。ユーザーの利用環境に応じて動作をローカライズする企業や、導入後にメンテナンスする企業、人型ロボットの一括購入が難しいユーザー向けにリースする企業など連携し、人型ロボットの導入を進める。
人型ロボットの開発で日本企業と組む用意もある。日本のロボット技術について「ハードウェアからソフトウェア・AIへの開発リソースの移行には少し遅れたが、まだ世界トップレベル」とChen氏。「同じ目標を持てるのであれば、どのような企業とも連携できる」と話した。
一方、Unitree Roboticsの人型ロボットを巡っては、ユーザーへの通知なしに外部サーバにデータを送信しているとの指摘も出るなど、安全性に懸念を抱く声も一部で上がっている。
Chen氏に安全面について聞いたところ「ロボットのハードウェアを使った学習や作業に関するデータは、全てユーザーの現地サーバに保存している」との回答だった。「自社でも基本的にAWSのサーバを利用している。日本でも、具体名は出せないが信頼性の高いクラウド企業などと連携しながら、セキュリティ対策を進めている」(Chen氏)
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